フィギュアスケートの全日本ジュニア選手権(11月23〜25日・福岡市)に本田姉妹の望結( みゆ)(14)と紗来 ( さら)(11)がそろって出場した。望結はショートプログラム(SP)9位、フリー14位で総合12位。紗来はSP23位、フリー12位で総合17位。2人とも日によって波があり、交互に明暗が訪れた。

 ■SP失敗もフリーで挽回した紗来

2人の姉の真凜(17)がGPシリーズのフランス杯で戦っているのと同じころ、紗来と望結が初めて、ジュニアとしては国内最高の舞台で顔を合わせた。
紗来は本来、ジュニアより年齢が下のノービスA(6月末日時点で11〜12歳)の選手。10月21日に大阪で行われた全日本ノービス選手権の「ノービスA女子」で2位と好成績を残したため、推薦で今大会への出場が決まった。

 ノービスAはフリーのみでSPはない。
このため、24日のSPでは「緊張はなかった」ものの、滑り慣れていない曲で演技したこともあって、不本意な内容に終わった。冒頭の3回転ルッツで転倒したのが響いて、点が伸びなかった。

 取材対応に現れた時、紗来の目は赤かった。
 「終わってから泣いている試合がすごく多いので、泣かないほうがいいかな、という気持ちがあったが、(演技内容を)深く考えて、ちょっとは(涙が)出てきた」

 ただ、フリーへ向けての切り替えは見事だった。
 24日は悔しさを夜まで引きずったというが、フリーが行われる25日の朝には「早く気持ちを切り替えないと」と自らに言い聞かせた。

 そのフリー。ジャンプの回転不足など細かいミスはあったものの、転倒もなく滑りきった。「演技途中からすごく楽しくなった」といい、最後まで笑顔で滑れたことに、満足感を漂わせた。

 「ノービスだと(フリーのみの)1曲しかないので、悪かった時は『次の大会で』という気持ちになる。ジュニア、シニアは2曲あるので、早く気持ちを切り替えないといけない。ここまで切り替えることができたのは、自分でも成長したと思う」

 自己採点すると何点?と聞かれると、「100点には届かないが、90点くらいにしておきます」と、照れながら答えた。全日本ジュニアデビュー戦で、納得のフリーだった。

■SP好発進もフリーで失速した望結

女優としても活躍する望結は、近畿選手権、西日本選手権で所定の成績を収め、2年連続で全日本ジュニアの出場権を勝ち取った。仕事とのバランスでいうと、スケート中心の日々を送っていた。

 SPでは、その成果が出た。

 冒頭の3回転フリップは回転不足と踏み切り違反が取られたが、残りの6要素はすべて出来栄え点がプラスになる内容だった。1年で8センチ伸びて1メートル58になった身長は、演技の伸びやかさを後押しした。

 「いい落ち着き加減のなかでできた」

 望結はSPをそう振り返った。

 しかし、フリーで暗転した。

 SPと同じく回転不足と踏み切り違反が取られた3回転フリップで転倒。3回転ジャンプが2回転にとどまるミスもあった。得点は伸びず、フリーだけでは、紗来の順位を下回ってしまった(紗来12位、望結14位)。

 「こういうミスをしたのは悔しい。去年との一番の違いは悔しさがあること。去年は全日本に出られた、フリーで滑れたことで満足だった。悔しさが出たのは、スケートへの気持ちが大きく変わっているからではないかと思う」

 この1年は、「トータルで見れば、全日本まで毎日楽しかった。とても充実したシーズンだった」とも感じている。

 だからこそ、いまは「100%悔しい」のだ。

 「何か自分のなかで大きく変わりそうな気がしている。スケートを本気でやりたい、という気持ちになっている」

 スケーター本田望結の心に火がついたようだ。

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