本当にもう引退しか残されてないのか。15日に休場を発表した横綱稀勢の里(32)。初日から4連敗では、横綱の威厳も何もない。

「今はしっかり痛めたところ(右ヒザ捻挫)を治してから、考えたいと思います」とは、来場所の進退を問われた本人の弁。師匠の田子ノ浦親方は「このままでは終われない。チャンスをください」と言われたことを明かした。

■白鵬と鶴竜の出場は絶対条件

 では、年明けの1月場所で逆転の一手はあるか。

 ひとつは白鵬、鶴竜が「休場しないこと」だ。今場所、稀勢の里は一人横綱の重圧を初めて味わった。ただでさえプレッシャーに弱いだけに、場所直前に2人が休場したことで責任がその双肩にのしかかってしまったのだ。

 だが、一番の問題は自身のこと。肝心の相撲内容は修正できるのか。ある親方が言う。

「今場所の稀勢の里は立ち合いから、いきなり左を差そうとしていたが、圧力をかけられてもないのに素直に差させてくれる相手はいない。稀勢の里戦では『左を差させない』ことが定石なのは、力士全員が知っていますからね。そこで左のおっつけです。立ち合いからまず、左でおっつけることで圧力をかける。左を差すのはそれからです。稀勢の里はこの相撲で横綱に昇進し、昨年の大阪場所(3月)で連続優勝しましたから」

 昨年3月場所で左腕、左胸を負傷してからは、左おっつけを封印、というかケガの影響でやりたくてもできなかったのだ。今場所前の稽古ではこの技を繰り出していたが……。

「おっつけは自身のヒジを脇にくっつけて、相手の腕を下からしぼり上げる攻防一体の技。ただ、胸筋に負担がかかるので、『古傷が悪化したらどうしよう』と本場所では避けていたのかもしれない。一人横綱の重圧で勝ち急ぐあまり、最初から左差しばかり狙っていたこともあるでしょう。でも、もはやケガの悪化などささいな問題。4日目の栃煌山戦では頭からぶつかって左を差したように、まだ前に出る圧力自体は衰えていない。『このまま燃え尽きてもいい』という覚悟で初場所に臨めば、チャンスはある」とは前出の親方だ。

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