ヤラセ否定の日テレ「イッテQ」に残る2つの疑惑を直撃 詳細は答えず、過去は打ち切りも
https://dot.asahi.com/dot/2018110800088.html

だが、日テレの見解が発表された後も、解明されていない謎が2つ残されている。

 一つは、日テレが否定している賞金だ。週刊文春は、賞金を受け取った少年たちから証言を得ている。日テレは、「番組から」は賞金を払っていないというが、コーディネーターや現地の協力者が払った可能性には触れていない。
もう一つは、この祭りがラオスで実在するかについてだ。日テレの文書では<水の上の一本橋を自転車で渡る催しは、東南アジアのテレビ局でも取り上げられるなど各地で人気となっている>と説明している。

 2つの謎についてAERA dot.が日テレ広報部にたずねたところ、こう回答した。

「コーディネーターに(賞金にあたるようなお金を日テレから)払ったことはありません」

 一方、コーディネーターが現地の少年たちに賞金を払ったかについては「わからない」という。

 同じような祭りが過去にどこで開催されていたかについては、

「コーディネート会社からは、ラオスで行われているという説明があって、それを受けて現地に参加しました」(同)

 番組内では資料映像のような形で別の地域の自転車による橋渡りの映像が使われているが、それはタイで撮影されたものだったという。
賞金の支払いや会場の設営なども「番組としてはしていない」(同)と強調したが、コーディネーターがラオスでとった具体的な行動について問うと、日テレが発表した文書に「(詳細が)書かれていない」との理由で、回答を避けた。

 なお、祭りで2位になり、週刊文春で賞金を受け取った証言しているウィラスク君は、橋を自転車で渡るゲームは初めての体験だったとも話している。ところが、番組ではウィラスク君を<数々の大会を制している><優勝候補>と説明していた。


 海外取材で問題となったテレビ番組は、「イッテQ」だけではない。2007年には、「発掘! あるある大事典2」(関西テレビ)が打ち切りになったことがある。

 あるある大事典では、納豆の健康効果を「最強の食材」と紹介するために、米国の大学教授に取材。ところが、放送されたときには教授の英語のコメントの音を消し、番組にとって都合のいい日本語のコメントをナレーションでかぶせていた。

 この問題を最初に報じた週刊朝日が、番組を制作した関テレに質問状を送ったところ、関テレは回答をせずに記者会見を開催。社長が出席してねつ造を認め、番組は打ち切りになった。関テレは、企業としても日本民間放送連盟(民放連)から除名された(現在は復帰)。

 国内の番組収録でも、11年に対決企画の人気番組「ほこ×たて」(フジテレビ系)が、実際に収録された対決の内容とは異なる編集が行われたとして、出演者が告発。ヤラセが発覚し、打ち切りになった。

 バラエティ番組といえど、リアリティを出すためにヤラセの演出をすれば、打ち切りになることは多い。もし、外国のメディアが日本の田舎で存在しない祭りをでっち上げ、自国で放送していたら日本でも問題になるはずだ。