歌手の宇多田ヒカルが、11月6日に横浜アリーナで12年ぶりとなる国内ツアー『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018』をスタートした。
ライブに参加したファンはその圧倒的なパフォーマンス、さらに新旧の名曲を織り交ぜた「神セトリ」に大満足。加えて、転売ヤーを完璧に締め出す
運営面にも絶賛の声が相次いでいる。

公式サイトを見ればわかるように、同ツアーの転売対策は全力そのもの。チケットの抽選前、申込みの段階で顔写真の登録(1名までの同伴者含む)を
行い、入場時には観客全員への本人確認を徹底。また、顔写真の基準も厳格だ。公式ページには「背景は無地であること」「3ヶ月以内に携帯電話や
デジタルカメラで撮影されたもの(免許証やパスポート写真の撮影は不可)」など非常に細かい「写真基準」が記載されている。本人確認・識別には
NECの顔認証技術が活用されており、成りすましや替え玉はまず間違いなく不可能だろう。
同一名義での複数応募は1回の応募としてカウントされるため、当選確率を上げるためのテクニックも使えない。もし仮に人海戦術で複数枚のチケットに
当選したところで、「漏れなく全員の顔写真を登録・確認」というハードルがある以上、転売ヤーには為す術がない。
チケットはすべて顔写真入りのデジタルチケットとして発行される。ちなみにこのデジタルチケット、スクリーンショットでの入場を防止するために
マークが常に動き回る仕様になっているという。万に一つの突破も許さない鉄壁のディフェンス……。まさに完全無欠の転売対策だと言えるだろう。

また『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018』は転売対策だけでなく、物販にも注目が集まっている。同ツアーでは、会場で販売されている
商品を事前にネット上で購入できる「事前申込(決済)コンサート会場引き換え」を導入。あらかじめ欲しいものを申し込んでクレジットカードで
決済しておけば、列に並ばずにグッズをゲットできてしまうのだ。公式サイトには「ご購入いただいた商品は必ず確保されます」という一文も
付記されている。な、なんて心強いんだ……。
リスナーを大切にする宇多田の気持ちがしっかりと反映されたこれらの取り組みは、ネット上で非常に高く評価されている。チケット取得までの
手続きの複雑化については「本気の表れ」と好意的に評価する声が大半で、顔認証を導入した入場も「至ってスムーズ」だったという。「ジャニーズも
宇多田ヒカルのようにチケット転売対策してほしい」「宇多田ヒカルのライブ物販の仕組み、他のバンドも取り入れてくれ」といったように、
他のアーティストに同様の対策やサービスを求める声も散見された。
2016年には116組のアーティストが「チケット転売防止を求める共同声明」に賛同したことで話題を呼んだ転売問題。とはいえ、ライブ会場での
顔認証を導入しているアーティストはB'zやMr.Children、ももいろクローバーZなど一部のビッグネームにとどまっているのが現状だ。
今回の宇多田ヒカルの大々的な転売対策を契機に、今後の音楽業界の流れが変わっていくかもしれない。

耳マン
https://news.nifty.com/article/entame/showbizd/12255-119957/