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2018.11.07 11:0

局長・西田敏行が号泣した物語が現実となった──。関西で人気のバラエティ番組『探偵ナイトスクープ!』(朝日放送)で15年前に「天才競艇少年」と紹介された6歳の少年が、プロのボートレーサー(競艇選手)としてデビューする。

ボートレースの数原魁(かい)選手(21)が11月8日に尼崎競艇場でデビュー戦を迎える。生家の近くに尼崎競艇場があり、幼くして競艇に魅せられた数原少年は、2003年『探偵ナイトスクープ!』に「ボートに乗ってモンキーターンがしたい」と依頼し、同番組に採用された(放送日は同年6月13日)。

当時ディレクターだった朝日放送の梶原英明氏はこう振り返る。
「彼と会ってその知識と情熱が伝わり、僕らもおもちゃのボートに乗せてお茶を濁すのではなく、ちゃんとした本物のボート、本当の会場(尼崎競艇場)で、レース形式でやろうということになりました」

数原少年がやりたいと依頼した「モンキーターン」とは、競艇でコーナーを回る際の高等テクニック。高速で旋回する艇上で立ち上がって外側に体重を移動させる動作が枝の上に立つ猿の姿に似ていることに由来する。転覆の可能性もあり、時速80km超で走るボートの上で立ち上がることは、かなり恐怖を覚える操縦である。

 当時、安全上の問題から「子供が乗るのは難しい」と競艇場職員は難色を示したが、数原少年は「写真を見ただけで選手名をフルネームで言える」と “競艇愛”を猛アピール。尼崎競艇場の競技委員長に直接掛け合い、「教官のOKが出れば」という条件を引き出した。

その後、教官2人が競艇の基礎知識について講義しようとすると、数原少年は「知ってる」と先回りして解説をする。さらに「まくり」や「差し」といったレース展開についても詳しく話し始め、教官たちもその知識量に舌を巻き、ついにモンキーターンの許可が下りたのだった。

本番までの1週間、数原少年は自宅でレース映像を見ながら、タイミングよく立ち上がる練習を繰り返した。当日は2人乗りボートの前に数原少年が乗り、競艇選手が後ろで操縦。他の競艇選手が操作する2梃とレースし、実際のレースと同じく実況も行なわれた。前出・梶原氏が語る。
(続く)

数原魁選手
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