プロ野球の新人選手選択(ドラフト)会議が25日に東京都内で開催される。今夏の甲子園で史上初となる2度目の「春夏連覇」を果たした大阪桐蔭高の根尾昂内野手や秋田・金足農高の吉田輝星投手ら将来のスター候補が「運命の日」を迎えるが、かつて交渉権獲得の抽選で斎藤佑樹投手らを獲得し、「GOD HAND」と呼ばれた元日本ハム球団社長の藤井純一氏に交渉権獲得の「当たりくじ」を引くコツなどを聞いた。

20年前の1998年、横浜高の松坂大輔投手(現中日)の獲得を目指し、3球団が競合した。この98年以降で、3球団以上が競合した1位指名の抽選(外れ1位の抽選を除く)で、最多の3回の「当たりくじ」を引いたのは、ソフトバンクの王貞治球団会長(監督時代も含む)だ。続いて、2回は藤井氏、楽天の島田亨球団社長、西武の渡辺久信監督(いずれも抽選を行った当時)、ソフトバンクの工藤公康監督となっている。

 藤井氏は、2010年ドラフトで、ヤクルト、ロッテ、ソフトバンクとの4球団で競合した斎藤(当時早大)を引き当てた。「控室を出るときから、『絶対に当たりくじを引いてくる』と言っていた」と振り返る。この3年前のドラフトでは、当時大阪桐蔭高の中田翔内野手を4球団競合の末に引き当てた実績もあった。

 日本ハムは昨年、くじ運がよくなかった栗山英樹監督に代わり、木田優夫ゼネラルマネジャー(GM)補佐が7球団競合の末、当時早稲田実高の清宮幸太郎内野手を引き当てている。そこで、藤井氏に「くじ引きへのアドバイスは?」と問うと、答えは「ピンチヒッターが引いた方がいいんじゃないですか」

 毎年、ドラフトを経て、新人選手がプロのユニホームに袖を通す。00年から4年間、サッカーJ1のセレッソ大阪の社長を務め、その後、日本ハムの球団社長に就いた藤井氏は「球団には(獲得した選手が)まず社会人としてしっかりやってもらえるように育ててほしい。選手には『俺はもうプロ野球選手になったんや』という勘違いをしないでほしい」と注文を付けた。【中村有花】

■過去の1位指名競合球団数
競合数     選 手 名          交渉権獲得球団

 8  1989年 野茂 英雄(新日鉄堺) 近   鉄(入団)

 〃   90年 小池 秀郎(亜   大) ロ ッ テ(拒否)

        ※92年ドラフト1位で近鉄に入団

 7   95年 福留 孝介(大阪・PL学園高) 近   鉄(拒否)

        ※98年ドラフト1位で中日に入団

 〃  2017年 清宮幸太郎(東京・早稲田実高) 日本ハム(入団)

 6  1979年 岡田 彰布(早   大) 阪   神(入団)

 〃   85年 清原 和博(大阪・PL学園高) 西   武(入団)

 〃  2007年 大場 翔太(東 洋 大) ソフトバンク(入団)

 〃   09年 菊池 雄星(岩手・花巻東高) 西   武(入団)

 〃   10年 大石 達也(早   大) 西   武(入団)

※2007年は大学・社会人ドラフト

■過去20年の3球団以上の指名競合
1998〜2017年

■球団別の「当たり率」

西   武 −−3/6=50%

ソフトバンク−−5/10=50%

日本ハム  −−4/14=28.6%

オリックス −−0/8=0%

ロ ッ テ −−4/9=44.4%

楽   天 −−3/9=33.3%

パ・リーグ全体−−19/56=33.9%

広   島 −−3/8=37.5%

ヤクルト  −−2/8=25%

巨   人 −−0/9=0%

DeNA  −−1/12=8.3%

中   日 −−2/9=22.2%

阪   神 −−1/11=9.1%

セ・リーグ全体−−9/57=15.8%

※ソフトバンクはダイエー、オリックスは近鉄、DeNAは横浜の結果を含む。小数点第2位を四捨五入

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毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20181025/k00/00m/050/148000c
続く)