● バスケ界の分裂状態を打破した 2016年のBリーグ誕生

「僕が忘れられない、アメリカ人バスケットボールコーチの一言に『サイズ(身長)はコーチできない』というものがあります。
バスケットボールのゴールは305cmという高い位置にあるから、どうしても身長の高い方が有利という面が出てしまいます。
ですから鵜の目鷹の目で大型選手を探します。

たとえば、日本で身長2m以上のバスケをやっている子を探そうと日本全国を探してみても、せいぜい10〜15人いるかいないか。
ところが中国やアメリカで探せば、恐らく2万人以上はすぐに集まるでしょう」

この差は大きい。

そこで生まれたのが、国内のプロバスケットボールチームがしのぎを削るリーグ戦、「Bリーグ」だ。
高さを経験値で補おうということだ。「Bリーグ」が開幕したのは2016年9月と、意外にもまだ日が浅い。

「日本バスケ界はNBL(ナショナル・バスケットボール・リーグ)と、bjリーグ(日本プロバスケットボールリーグ)の2リーグ体制となっていましたが、
両者の間には確執とも呼べる大きな溝があった。しかしBリーグの誕生によって、ようやく両リーグが1つになったのです」

このバスケ界の長きにわたる確執は泥沼の様相を呈し、そのまとまりのなさが、少なからずバスケ人気に影響していたようだ。
しかし、肝心のBリーグ開幕戦も、フジテレビによるゴールデンタイムの生中継が行われたものの、視聴率は残念ながら5.3%と寂しいものだった。
この結果を見ても、国内ではバスケットボール観戦はいまだ定着していないのがわかる。

しかし、Bリーグの健闘によって、今後バスケットボール人気が過熱する可能性は大いにあると島本氏は言う。

「会場のキャパが狭い分、バスケットボールは選手との距離が近いだけに迫力がある。
試合を間近で観戦でき、さらに試合後は選手とのハイタッチやサイン会を行うなど、ファンイベントも積極的にやっています。
Bリーグ自体、日本のバスケットボールを盛り上げるためにエンターテインメントを重視しているリーグなので、一度試合を見て、その魅力にハマる女性ファンなどは多い」

Bリーグでは、試合の合間にはクラブミュージックが流れ、チアガールがセクシーなダンスを踊るなど、会場一体となって盛り上がるような派手な演出がなされている。
その人気はじわじわと上昇しており、2018年のBリーグレギュラシーズンの入場者数は、初年度の214万人から240万に伸びている。
Bリーグが盛り上がれば、着実にバスケの固定ファン獲得につながると、島本氏は確信している。