貴乃花(46)はこれまで、大勢の前で3人の親方を罵倒している。2014年に死去した放駒元理事長(享年66=元大関魁傑)、
八角理事長(55=元横綱北勝海)、友綱親方(66=元関脇魁輝)、いずれも自分より年長の先輩に対してだ。

二所ノ関一門に所属するある親方が言う。

「貴乃花がウチの一門から初めて理事候補選に出馬したのは2010年。いまさら説明する必要もないだろうけど、当時は慣例破りの貴乃花の行動に、一門は騒然としていた。
そんな中、何とか貴乃花をいさめようとしていたのが、一門の実質的な総帥だった放駒さんです。一門会でも『まあ、待て。ちょっと落ち着け』と説得していましたが、貴乃花は聞く耳を持たず、
自分の都合しか話さない。しまいには放駒さんを大声でののしりだしたものだから、われわれも肝を冷やしたほどです」

八角理事長を面罵したのは、16年1月の年寄総会。当時は山響親方(48=元前頭巌雄)が評議員を退任したため、後任を決める必要があった。
八角理事長は年寄総会に先立って行われた評議員会で、同じ高砂一門のOBである元中村親方(70=元関脇富士桜)を推薦。これに猛反発したのが貴乃花だ。

年寄総会に出席したある親方が言う。

「貴乃花は評議員会でも怒っていたようだけど、その後の総会でもすさまじかった。親方衆全員が見ている中で、八角理事長を『テメー!』とか『コノヤロー!』とか怒鳴り散らしていた。
聞き取れたのはそれくらいで、後はほとんどワーワーわめいていた。理事長が何か言おうとしても、ずっと怒鳴っているもんだから、ウチらもドン引き。ちょっとあの怒り方は尋常じゃなかったね」

■「オマエなんて言われる筋合いはねえよ!」

さらにこの親方は友綱親方の件についても、こう話す。

「きっかけはつまらないことだよ。いつの総会かは忘れたけど、貴乃花が何かについてしゃべっていたんだ。そこに友綱さんが『オマエ、それはちょっと違うよ』と横やりを入れた。
すると、貴乃花は突然、『オマエにオマエなんて言われる筋合いはねえよ!』と、友綱さんを罵倒した。友綱さんは貴乃花より20歳も年上だよ? いくら何でも言い方ってものがある。
あの辺りから親方衆も、『コイツ、何かおかしいぞ』と気付き始めたようだね」

他人の意見に反論する権利は誰にでもあるし、話の腰を折られて面白くない気持ちもわかる。その場合、普通ならば「対話」というプロセスがあってしかるべき。
ところが、貴乃花はいきなり一足飛びどころか二足も三足も飛んで、「罵倒」という手段に出る。

それでなくとも、貴乃花は自分の言葉で相手と話し合うことができない。少しでも気に入らないことがあれば、大声を張り上げてドーカツする。
ある親方は「顔と顔を10センチくらいの距離に近づけて、ものすごい形相でにらまれたこともある」と話す。ヤクザでもしかるべき地位の人ならこうはしない。これではまるでチンピラヤクザではないか。

16年に大阪で行われた理事会では、宗像元外部理事とともに、執行部を糾弾。といっても、マトモに意見をぶつけたわけではない。宗像元理事の尻馬に乗って、「そうだ、そうだ!」とダミ声で怒鳴っていただけだ。
逆に話し合いの席や、自分が攻められる立場に回ると「はい」「いいえ」「別に」くらいしか言えず、切羽詰まると「それは弁護士に……」と、逃げ回るのが常だ。

人と理詰めで話せないのだから、組織改革などできるはずもなかったのだ

2018/10/12 06:00 ゲンダイ
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