>>918
そんなことは誰でも知っているだろう
問題はプロレスがエンタメとしてどう変質していったのかということだ

似非スポーツとしてのプロレスはタイガーマスク全盛期のあたりで完成されていたんだよ
猪木がいて藤波がいてタイガーマスクというそれまでにいないタイプのスーパースターが誕生した
まさに全世代に訴求する魅力をタイガーマスクは備えていた
猪木はタイガーマスクを全米でサーキットさせようと画策していた
そうなればタイガーマスクを中心にプロレスの世界地図は塗り替えられることになっていたかもしれなかった

覆面はぎや噛ませ犬の下剋上アングルなんてなくても単にそれを延長していくだけで良かったのだ

タイガーマスクは言うに及ばず、藤波には端正なルックスとプロレスセンスがありスターとして申し分なかった
そこで予定調和のプロレスをやっていけば良かったのだ
視聴者は安定して楽しめるものを求めているからだ

ところが長州がああいう形で藤波に喧嘩を売るようなアングルを新日は仕掛けた
刺激的だがそんな劇薬の効果は長くは続かない
実際小林邦昭の覆面はぎもマンネリ化してそのアングルはもう通用しなくなりつつあった

4.3で藤波が長州を返り討ちにしていればこのアングルはそこで終わっていたのだ
ところが長州が勝つシナリオになったことでこのアングルは継続されていく事になる

得をしたのは長州だけだ
結果長州を劇薬扱いとして中心に持ってくるしかなくなった
完成されて安定したエンタメから情念渦巻く演歌の世界になってしまったのだ

だから手を変え品を変えその手の刺激に依存せざるを得なくなった
それ以前のプロレスはタイガー・ジェット・シンが猪木を大流血させようが基本的には予定調和のクリーンなエンタメの形状を維持していたからだ

長州のアングルはそれをとことん破壊し尽くした
プロレスから中心軸が失われて多様性を帯び、プロレスはバラバラになっていったのだ

その端緒となったのは長州なのだ