貴乃花(46)が協会を去るにあたって、執拗にこだわったのは退職の日付だった。

臨時理事会で正式に退職が認められたのは10月1日だったが、貴乃花は弁護士を通じて9月25日にしてもらいたいと言った。

ある親方の解説はこうだ。

「翌26日には番付編成会議があった。審判部に所属する貴乃花は、書類上の不備で正式に退職が認められていないだけに本来、出席義務がある。
けれども、一方的に会見を開いて辞めますと言ったきり、なしのつぶて。無断欠勤となれば、懲戒の対象になる。
退職金や功労金に響く可能性があるだけに、25日にこだわったんじゃないか」

それでも貴乃花の退職は書類が正式に受理された10月1日になった。
だとすれば「無断欠勤」は退職金や功労金に影響するのか。
そもそも、あれだけ協会に刃を向けた貴乃花に退職金はともかく、功労金は盗人に追い銭にならないか。出るとすれば退職金と功労金はいくらくらいか。

まず、退職金は、協会の退職金支給規定によって決まる。

貴乃花は現役引退時に特別功労金約1億3000万円と退職金約5000万円を手にしたといわれるが、今回は年寄としての退職金と功労金が対象になる。

退職金は年寄を10年務めると250万円、それ以上は1年につき40万円が支給される。
これに委員1期(1年)につき15万円、理事1期(2年)につき70万円が加算される。 
貴乃花が年寄として協会に勤務した期間を16年弱とすると、退職金の額は約880万円、これに功労金が加わる。

協会の退職金支給規定には「理事長、理事、監事、委員、主任の各役職に就いた年寄にして、
特に本協会に功労のあった者に対しては、理事会の決議により、功労金を支給することができる」とある。

「功労金の金額はおそらく11月下旬の理事会、評議員会、臨時理事会で決まるんだろうが……」と、前出の親方がこう続ける。

「平成の大横綱といわれた現役時代ならともかく、年寄になってからの貴乃花は協会への功労どころか、執行部の足を思い切り引っ張った。
日馬富士暴行事件以降の一連の言動や内閣府への告発状の問題では、弁護士まで動いたからね。
カネも時間も労力もかなり使ったのは間違いない。我々、親方衆の中には『功労金があるとすれば、むしろマイナス。
こっちがもらいたいくらい』という声もあるほど。
ただ、八角理事長をはじめとする執行部はそうもいかないと考えているらしい。
最後の番付編成会議の無断欠勤もおそらく、懲戒の対象にはしないだろう。
退職金と功労金を合わせて4000万円とも5000万円ともいわれる額で落ち着くともっぱら。前例に従って、それなりの金額を払うことになるだろうね」

■1億8000万円に2億円

やれ「改革」だの「大義」だの「角道」だのとゴタクを並べてみたものの、理事時代にやった仕事らしい仕事はほとんどない。
というより、いかに仕事をしなかったかはこれまでの連載で指摘してきた通り。

貴乃花の言動が原因で協会が損害を被ったのは事実でも、それなりの退職金と功労金は出るというのだ。

貴乃花が会見で退職を明らかにしたとき、親方のひとりは、

「どうせカネだろ。退職金と功労金目当てさ」

と吐き捨てた。

貴乃花部屋は16年6月に中野区から江東区に移転した。
中野区の部屋は地上4階、地下1階の鉄筋コンクリート造りで、先代師匠である貴ノ花親方、つまり実の父親から引き継いだものだ。これは08年の時点で、不動産会社に売却している。

そして自宅には極度額1億8000万円の根抵当権と、計2億円の抵当権が設定されている(9月25日現在)。

協会を退職した時点での年収は約1200万円。理事時代の約2000万円からかなり下がったとはいえ、4000万円とも5000万円ともいわれる退職金と功労金のために果たして、
安定した年収や社会的地位を放り投げるだろうか。それとも何か「アテ」でもあるのだろうか。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181011-00000019-nkgendai-spo
10/11(木) 9:26配信