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巨人の監督に原辰徳がなるらしい。野球ファンの罵声が聞こえる。

「原だってよ」

「またかよ」

「なに考えてんだ巨人って?」

「原から由伸に代わったのは失敗だった…
「原から由伸に代わったのは失敗だったから、元に戻すんだな」

「先を見る目がねえ」

「おんなじ所をぐるぐる回ってる」

「原って、素性の怪しいやつらに脅されて1億円払ったやつだろ」

「賭博やら選手がモンダイ起こしたときに、とっとと辞めて由伸に押し付けて、新しい巨人つくるんだっつといて、無能なフロントが三流選手ばかりあてがいやがって、勝てなきゃ、また原かよ」

 そういう巨人ファンの怒りをぜんぶ背負って勇躍新監督発表会見に臨んだスポーツ記者が、「野球ファンのこの疑問にどう答えますか?」

 本社の奥の院から取り巻きに抱えられて出てきたジイサマが、

「歴史と伝統を誇る我が栄光の巨人軍を立て直すためだ。高橋はまだ若い。野球のイロハを知らん。そこへいくと、原は名将と言われとる」

「言われてませんよ」

「少なくとも、巨人軍の何たるかを知り尽くした男だ」

「巨人軍の何たるかってナンですか?」

「すべてがトップダウン。本社のお眼鏡にかなう采配。カネで選手の頬っぺたをひっぱたく手法に文句を言わん性格。次から次へとライバルチームの最強選手を引き抜いて使い捨てる。それらを当然と思って与えられた戦力を、さも自分が育てたような顔をして笑っていられる狡猾さ。本社に対する腰の低さ、ゴマスリ、そういうことを裏でやりながら、一見さわやかに采配を振る。それらの才能がすべて備わっているのが、原辰徳だ!」

つづく

日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/239173