「今日は思いっきり映画のこと語ってやろうと思ってますから!」と冒頭から息巻いていて、ちょっと嫌な予感はしたのだが…この日、特に印象的だったのは、松本の口から20回ぐらい登場したセリフ。
「言っていいですか?」
「もう言っちゃっていいですか?」
「自慢みたいで嫌なんですけど、言っていいですか?」
言っちゃっていいか、とわざわざ前置きして言い訳して語りたい内容は、以下だ。
「松本人志監督は、まだ『有名人監督』なんですよ。『松本人志監督』の一番の敵は、ダウンタウン・松本。みんなまだ松本人志という先入観を持っている。
前2作よりは、松本人志という先入観が少なく見てもらえるんじゃないかなと」
「たけし(北野武)さんはもう『有名監督』になりましたよね。僕はこの『さや侍』で有名人監督じゃなく、有名監督になりたい」
「海外ではほんっっとすごい評価されてて、日本がまだぜんっぜん追い付いてない」
「『大日本人』、海外ではすごいロングランしてますし、でも日本のニュースではそういうのぜんっぜん言ってくれないんですよ。
ぶっちゃけ海外ではすごい評価を受けている。言っちゃっていいですか? 結構でかい話が、ハリウッドから来てるんですよ。ハリウッドからのすごい話が」
「ロカルノ(国際)映画祭の時も、どっかの心ない掲示板で『吉本の力』って書かれて、でも、吉本にそんな力あるかぁ!!(怒)」
さらには、こんな話まで、自分で「言っちゃっていいですか」だった。
「募金とかも、地震が来る前からやってたんですけど、なんかそんなん言うの嫌やったんですよね。逆プライドいうか。『やらないよりやった方がいいんじゃないの』と昨日、嫁に言われました」
全部自分で言ってしまう切なさ。周囲をイエスマンで固めている現在の松本人志を「裸の王様」と言う人は多いが、王様自らが語ってしまうのではなく、
せめて千原ジュニアか、キム兄こと木村祐一あたりにVTRで言わせた方が良かったのではないだろうか。
あまりに何度も何度も出てくる「言っていいですか?」は痛々しく、途中、MCの井ノ原快彦にすら「もう言ってるじゃないですか(笑)」とツッコまれ、
「心ない掲示板」に関しても「なんでそういうの見ちゃうんですか(笑)。見なきゃいいじゃないですか」と慰められてしまっていた。
一方、冷静にツッコミを入れ続ける有働由美子アナも印象的だった。
「『結婚なんてせえへんわ』とずっとおっしゃってたのに、結婚されて」
「『ハリウッドは嫌い』って、前、おっしゃってませんでした?」
「(視聴者からのハガキで)ご自分を今も天才だと思いますか」
結局、「自慢」と「言い訳」で終わってしまったプレミアムトーク。でも、いったい誰に対する言い訳なのだろうか。「心ない掲示板」に対して?
それとも、「結婚なんかせえへんわ」とか「ハリウッドは嫌い」とかトンがっていた、「天才」だった若いころの自分への言い訳?
 「浜田がケツをけり上げてくれれば、オチがついたのに」と思わざるを得ない、切ない回だった