お笑い芸人が「冠番組」に憧れるように、役者にとって「主演」という響きは憧れを抱くものだろう。さらにいえば、「ゴールデンの連ドラ主演」は、本人にとっても所属事務所にとっても“喉から手が出る”ほど欲しい仕事に違いない。

 しかし、その座にのぼりつめたものの主演作が振るわず、再び脇役に回らざるを得なかった悲しきヒロインがいるのも事実である。

 たとえば、水川あさみだ。キャリア12年目の2008年、同名のベストセラー本が原作の『夢をかなえるゾウ』(日本テレビ系)で連続ドラマ初主演を果たす。深夜ドラマという事情はあったものの、平均視聴率は初回7.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)から回を追うごとに下落。最終回は3.4%に終わり、全話平均視聴率4.6%という低調ぶりだった。

 5年後の13年、彼女は『シェアハウスの恋人』(同)でゴールデンタイムの連ドラ初主演を果たす。しかし、平均視聴率は第4話で6.8%まで下がるなど“爆死”状態。結局、全話平均視聴率は9.5%に終わった。

 それでも、水川は翌14年、刑事ドラマ『東京スカーレット〜警視庁NS係』(TBS系)でも主演を務めた。同ドラマは、同じく刑事ドラマの人気シリーズ『相棒』(テレビ朝日系)のプロデュースを手掛けた東映の須藤泰司氏がプロデューサーを買って出ており、おそらくはシリーズ化も狙っていただろう。しかし、結果は全話平均視聴率6.5%で期待外れに終わってしまう。これ以降、水川は民放地上波の連ドラで主演を務めていない。

 次は、川口春奈だ。13年に『夫のカノジョ』(TBS系)でゴールデンの連ドラ初主演を果たしたが、第5話の平均視聴率3.0%は今世紀のプライムタイムで放送された民放の連ドラの中で最低という不名誉な記録となった(テレビ東京を除く)。全話平均視聴率も3.87%という惨憺たる結果に終わり、翌14年にスペシャルドラマ『このミステリーがすごい!〜ベストセラー作家からの挑戦状〜』(同)で主演を務めて以降は、出演ドラマのすべてで脇役に回っている。

 西内まりやも、苦汁をなめたひとりだ。11年12月からCSで放送された『スイッチガール!!』(フジテレビTWO)で連ドラ初主演を果たすと、その後は「地上波連ドラ初主演」「プライム帯ドラマ初主演」と、次々に大役をゲットしていく。しかし、「月9初主演」となった17年の『突然ですが、明日結婚します』(フジテレビ系)が当時の月9史上最低視聴率を更新し続けた挙げ句、全話平均視聴率6.7%と大コケしてしまう。その後、西内は所属事務所を退社しフリーとなったが、女優業の不振も影響したのかもしれない。

ギネス認定の観月ありさ、崖っぷちの吉岡里帆

 また、旬が過ぎてもいまだ「主演」にこだわり続ける女優もいる。それが観月ありさだ。

「観月は1992年の『放課後』(フジテレビ系)で連ドラ初主演を果たすと、今年までに27年連続、31作の連ドラ主演を果たしており、2010年には“連続テレビドラマで世界記録となる19年連続主演女優”ということでギネス認定されています。ただ、最近の出演作はいずれも数字が芳しくないどころか、印象にも残らないものばかりです」(テレビ局関係者)

 一方で、主演からの“転落予備軍”もいる。その筆頭が吉岡里帆だ。今年1月クールの『きみが心に棲みついた』(TBS系)で待望の連ドラ初主演を果たしたが、全話平均視聴率7.7%に終わる。続く主演作『健康で文化的な最低限度の生活』(フジテレビ系)に至っては同5.8%でフィニッシュし、2作連続で“不作”となった。

特に、『健康〜』は数あるドラマオファーの中から吉岡が自ら選んだ作品だけに、ショックも大きいだろう。いずれにしても、次に主演の座がめぐってきたら、もう視聴率1ケタは許されないのではないだろうか。

 10月からは、また新たなドラマが始まる。ここで株を上げる女優と下げる女優は誰か。注目していきたい。

2018.10.08 ビジネスジャーナル
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