馬鹿の花が弟子に無視されてたのは事実でした

今年の夏巡業中の話だ。
 事件は貴公俊(21)がシコを踏んでいる最中に起きた。
「いま、女を見ていただろ!」
 その場に貴乃花親方(46)の怒声が響き渡った。周囲には関係者以外、一般客の姿もあった。親方の目には弟子の視線が女性に向き、稽古に集中していないように映ったのだろう。
 貴公俊はしかし、親方の叱責を気にするふうもない。というか、暖簾に腕押し、糠にクギといったあんばいで、貴乃花親方の方を見ようとすらしない。完全無視の体だった。
「おい、正座しろ!」
 業を煮やした貴乃花親方は再び、怒鳴り付けたものの、貴公俊の表情はまったく変わらない。またしても完全無視。親方の前で正座をするどころか、その場で開き直ったような表情。「殴れるものなら殴ってみろよ」と言わんばかりの態度だったという。