電撃引退を表明した貴乃花親方vs日本相撲協会のバトルが新たな展開を迎えた。相撲協会が圧力をかけたか否か、真相はまだ明らかになっていないが、相撲協会の過去の行状を振り返ると、
硬直的な組織にありがちな「ネガティブ報道や告発はすべて事実無根で押し通す」という悪しきカルチャーを持っているのは事実だ。(ノンフィクションライター 窪田順生)

● もはや日本の風物詩 「パワハラ論争」がまたも勃発

またしても、「圧力を感じた」「いや、そんなつもりはありませんでした」の無限ラリーが繰り広げられるのだろうか。

25日に電撃引退(退職)を発表した貴乃花親方。引退の理由は、3月に内閣府に提出した告発状について、
日本相撲協会から「事実無根」と認めるように執拗に迫られたからだと会見で明かしたところ、
相撲協会側が「圧力をかけた事実はない」と否定。今や日本の風物詩ともなった、やったやらないの「パワハラ論争」が、再び勃発しそうなムードなのだ。

事実についてはこれから明らかになるのかもしれないが、個人的には貴乃花親方の言い分が正しかったとしても、特に驚くような話ではないと思っている。
むしろ、相撲協会という組織の性格を考えれば、「ない」という方が不自然である。

レスリングの伊調馨選手とコーチが内閣府に告発状を提出した時、日本レスリング協会幹部らが事実確認をせず、
脊髄反射で「事実無根」と顔を真っ赤にして主張したことからもわかるように、
公益財団法人にとって告発状というのは、読むだけで100日寿命が縮まる「恐怖新聞」のような存在なのだ。

相撲協会もそれは同様で、貴乃花親方の告発状のせいで、幹部の方たちは3月から枕を高くして寝られない状況が続いている。

貴乃花親方が告発状を取り下げたのは、あくまで弟子の暴力問題があったからであって、告発した内容が間違いだったと認めたからではない。
つまり、告発状はいつ爆発するかわからない「不発弾」のような存在となっていたからだ。

「あいつは大量破壊兵器を持っているかも」という恐怖が、大国を戦争へ突っ走らせるように、恐怖は人間を攻撃的にする。
貴乃花親方が世間に触れまわる「恐怖新聞」、もとい告発状の悪夢に悩まされ続けてきた相撲協会幹部が、恐怖から解放されるため
、なりふり構わず、貴乃花親方に「告発状はデタラメでしたと言え」などと迫るというのは、実は極めて人間らしいアクションなのだ。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180927-00180641-diamond-soci
9/27(木) 6:00配信