USオープン決勝、事件のあらましはこう。

ムラトグルー・コーチが客席からセリーナ・ウィリアムズにコーチングをしていたことが発覚して注意 → 2.次いでラケット破壊して1ポイントペナルティ → 3.そして主審への暴言で1ゲームペナルティ
テニスは野球やラグビーと違って、“紳士淑女のスポーツ”としての起源をもっているので、試合中試合会場という名の戦場に出ていくときは、選手だけが孤独に闘うことを強いられる……ということになっている、らしい。

つまりは「脇から手助けなんてするんじゃないよ、卑怯なっ」ということ。基本的に決闘ということ? いずれにせよ起源がそうだというならまあ1.も問題なし。合理的かどうかは別としてそれがルールなのだから。

ラケットを壊すと「乱暴なことはしちゃダメだよ。いけないことだよ」と、チコちゃんではなくて審判に叱られる。この際、ラモス審判がウィンブルドンの準決勝でノバク・ジョコビッチと錦織圭選手がラケットを破壊した際に、ジョコビッチだけに警告した気まぐれは無視するとして、子供も見ているゲームで道具の破壊は黙って見逃してはいけない。2.も当然の事。

3.についても暴言を吐いて審判を否定することは、ルールがあってこそのスポーツそのものを否定することなので、ダメ。これも当然。

カルロス・ラモスは悪くない。ただ1点、試合を破壊したという点を除いては―――。

試合を破壊したのは、セリーナ・ウィリアムズだという人もいる。でも、よくよく考えてみるとちょっと違う。最初にコーチングで注意されたときは、文句は言いつつとりあえず飲みこんでいたセリーナ。「他の選手だってやっているのに!」と思っていたのか、それともムラトグルーが言っていたように「え? 何それ、全然気づいてなかった!」と本当に驚いたのかはわからないけれど、いずれにせよそこは収まっていた。

問題なのはラケット破壊後のペナルティ。セリーナが本当に怒ったのはココ。コーチングへの注意が、実は警告つまり罰則への正式な第一段階だったということに、ペナルティを宣告されて初めて気づいたからと報じられている。「え! さっきのって正式な警告だったの!?」と。次に何かあればペナルティを課すとの説明もなしに、いきなり第二段階に進んでいた。だからこその「盗人」発言だとすると感情は理解できる。

ふつふつとわき上がる怒り。そして文句を言い続けていたら、最終的には1ゲームを取られてしまった。しかも罰金189万円付きで。

(中略)
審判は「ペナルティを課すこと」ではなく、「試合を守ること」が第一。だとすれば、カルロス・ラモス審判のやったことは、抑えることができたはずの怒りを引き起こし、負のスパイラルを生んでしまったという点において、マネージメント力に欠けていると言わざるを得ない。
USオープンで白人男性という優位性を利用してブーイングを味方につけていた(とくに1994年のマイケル・チャン戦は全米OPの観客の人種差別っぷりを思い知らされる)元悪童ジョン・マッケンローすら「あれは事前に通告するべきだった」と指摘している。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180921-00010001-elleonline-ent&;p=3
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