女優の樹木希林さんが15日に亡くなった(享年75歳)。
数多くの映画やテレビドラマのみならず、バラエティー番組などにも出演し人々から親しまれた樹木さんだが、映画業界関係者は語る。

「ある映画の衣装合わせの際、監督やスタッフが待つ部屋に入ってきた樹木さんは、用意された多くの衣装を見て、『こういうことでは、ないんですよねー』と一言残して、そのまま部屋を出て行き、
撮影当日、自分で衣装を持参したことがあったようです。
もちろん“わがまま”などではなく、それだけ出演作に対する思い入れが強く、誰よりも脚本を読み込んで人一倍作品について考えているということです。
そのため、起用する側は生半可な気持ちでは樹木さんにオファーできず、相当の覚悟が必要です。
いずれにしても、今の映画界では唯一無二、絶対に代えのきかない女優だったことは間違いありません」

また、テレビ局関係者は語る。

「業界内では有名な話ですが、樹木さんにはマネージャーがおらず、スケジュールの調整や出演オファーへの対応、ギャラ交渉などはすべて一人でこなしていました。
オファーするときには直接、樹木さんに電話を掛けるのですが、いつもテレビで見せるあの飄々とした感じで『もしもしー? おたくはどちらさま?』などと言われた後、
口頭で作品や番組の内容を説明したり、FAXで企画書を送り、樹木さん自ら受けるかどうかを判断します。
そういうかたちなので、撮影初日などは現場のスタッフは本当に樹木さんが来てくれるかどうか、不安になることもあるようです。
もっとも、樹木さん本人は『行くって言ったんだから、行きますよー』という調子ですが。

また、映画監督のなかには、是枝裕和さんや河P直美さんのように、樹木さんに特別な思い入れを持つ人も多いですが、こうした大御所監督の作品だけではなく、
若手監督の作品にも出演するなど、いい作品だと判断すれば別け隔てなく引き受ける人でもあります」

そんな樹木さんだが、私生活では40年以上も夫でミュージシャンの内田裕也と別居生活を送りながら、夫婦関係を継続していたことでも知られている。

「内田が何か問題を起こすたびに、渋谷区(東京)の樹木さんの自宅前に大勢の記者が集まるのですが、
樹木さんはいつも嫌な顔ひとつせず、記者を自宅のリビングのなかに入れて“記者会見”をしてくれました。
そんな女優さん、ほかにはいませんよね」(週刊誌記者)

樹木さんといえば、2012年に「全身がん」を公表し、薬を服用していないことを明かしていた。

「薬は飲んでいないと語っていましたが、治療をしていなかったわけではなく、最先端のがん治療が受けられる鹿児島の病院に通っていました。
この病院はほかにも有名人らがお忍びで通うことでも知られていますが、がん公表後も会った人たちは『本当にがんなの?』と疑ってしまうほど元気だったようです」(別の週刊誌記者)

日本映画界は、大きな存在を失ったといえるだろう。

http://dailynewsonline.jp/article/1522829/
2018.09.17 19:50 ビジネスジャーナル