大坂なおみを“日本の誇り”“日本の心”と利用するメディアと政治家の醜悪! 大坂自身は「私は私」と
2018年09月14日

違和感を感じるのは日本のメディアやネットの反応だ。

“日本の心”“日本人ならではの謙虚さ”などと彼女の美点を無理やり日本に結びつける報道や論評が溢れかえっている。

実は大坂選手に対しては、ついこの間まで、ネットで「日本選手っぽくない」「この人を日本選手と呼ぶことに違和感がある」という差別的な攻撃がやたら見られた。

全米オープンで優勝し、世界中から評価を集めた途端に、今度は一斉に例の“日本スゴイ”に大坂選手の存在を利用しはじめたのである。

大坂選手のすごさや素晴らしさは、日本人だからではない。
むしろ、あの状況でああいうスピーチできた人はいままで日本にほとんどいないし、大坂個人のキャラクターによるところが大きいはずだ。

大坂選手は今朝帰国し横浜市内で記者会見を行ったが、そこでも、“日本スゴイ”に利用したいメディアと、コスモポリタンな感覚をもつ大坂選手とのギャップが露わになった。

日本メディアの記者から日本人としてのアイデンティティについて質問された際に、大坂選手はしばらく質問の意味がわからずとまどったあと、こう答えたのだ。

「アイデンティティがどうとかについてはあまり考えていませんね。私は私であって。

日本人としての一面もあるとは言われていましたけれども、でも、テニスの仕方にそれが出ているとは思いませんし、それが日本式だとは思いませんね」

大坂選手は全米オープンの大会中にもアイデンティティに関する質問をされた際、

「父がハイチ出身だから、私はニューヨークに住むハイチ人の家庭で育った。おばあちゃんと住んでいて、ママは日本人だから日本文化の中にもいた。
米国文化というなら、私は米国在住だからそれもある」とも答えている。

いかに日本のメディアが偏狭でご都合主義的なナショナリズムに囚われているのかがよくわかるが、もっととんでもないのが政治家連中だ。

政治家連中が、やたら「日本の誇り」として、大坂選手をナショナリズム扇動に利用しようと躍起になっているのだ。

いずれにしても、普段、排外主義を振りかざす連中こそが、大坂選手のことを「日本の誇り」などと言っているのだ。

ようするに連中は「使える人間ならば自分たちの“仲間”に入れてやってもいい」と言っているだけであり、それは前述したように差別意識の裏返し以外の何物でもない。

そして、残念ながら、こんなとんでもない差別的言辞が政治家の口から堂々と語られ、何の問題にもならないというのが、いまの日本の現実なのだ。

https://news.nifty.com/article/entame/12218/12218-8425/