名前などなかったように番号で呼ばれ
便所のスリッパを履かされ
すえた臭いのするビニール製の畳の部屋に入れられ
小便・大便をすると排便願いますと言わされ
翌朝から検察庁に報道陣のライトの中護送され
検察調べと裁判官が終わった時には夜の八時で
帰るとすぐに十日の勾留が決定したと牢屋越しに書類を見せられ
洗面タオルの洗濯は週に一度で
夏場の風呂は週に三度で
各房を回ってくる新聞は自分の記事が上手く剥がされており
弁護士から被害者へのお詫びの手紙を書きなさいと言われ
面倒くさいと思いながらヘンテコなボールペンで書き綴り
顔を上げれば壁には卑猥な落書き
三日もすれば食事も喉を通るようになり
四日目には食事が待ち遠しくもなってくる
五日目には同じ部屋のやつと談笑し始める
このころには担当とも打ち解け取り調べの世間話が待ち遠しくなる
九日目には勾留期限があと一日だと喜び
十日目には牢屋越しに看守から「十日間勾留延長されたから」と告げられる