全国優勝経験のあるPL学園高(大阪府富田林市)軟式野球部が、休部中の硬式野球部に続いて存続の危機を迎えている。選手が9人を下回り、今月開幕した秋季近畿地区大阪大会の出場を辞退した。甲子園で春夏通算7回優勝の硬式と同様に、軟式も夏の全国選手権に11回出場して優勝1回の強豪だが、生徒数減少の影響で部員不足に陥っている。

 「過去のプライドも実績も捨てて、どん底からはい上がろう」。今月上旬の同校軟式野球場で、就任33年目の斎藤大仁監督(57)は選手たちを集めて語りかけた。チームは今夏の全国選手権大阪大会で決勝に進んだが、河南に0−5で敗れて準優勝。3年生8人が引退すると、1、2年生は8人しかいなかった。秋季近畿地区大阪大会には前回王者ながら出場できなかった。

 1967年に創部されてOBの斎藤監督の就任後に強化が進み、全国選手権には89年に初出場で準優勝。2001年には大阪勢唯一の全国制覇を果たし、05年から4年連続出場を果たした。昨夏に全国選手権に4年ぶり11回目の出場を飾り、今年も春季近畿地区大阪大会を制するなど好成績を残した。

 それにもかかわらず、部員不足となった背景には、全校生徒数の減少がある。80年代には1000人以上の生徒が在籍したが、大阪府教育庁によると、今年度(5月時点)は164人。入学者は120人の募集に対して55人にとどまった。斎藤監督は「この状況は夢にも思わなかった」と打ち明ける。

 ただし、今月に入ってから他部からの転入者があり、部員数は9人に増えて練習試合が可能になった。本多学主将(2年)は「人数は少ないが、頼れるメンバーがいる。春にはいいチームを作って大会に戻る」と誓う。大阪府高校野球連盟の多田真己・軟式部委員長は「大阪での合言葉は『打倒PL』だった。PLがいないと、他校も張り合いがないだろう」と指摘する。

 ユニホームのデザインは硬式と同じ。校歌に歌われる「永遠(とわ)の学園」の復活を待ち望む声は多い。【長宗拓弥】

9/12(水) 6:30配信 毎日新聞
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