臙脂色のふかふかの絨毯。グランドピアノを囲むように黒いソファが設えてある。
高級酒のボトルがずらりと並ぶバーカウンターでは、正装したバーテンが小刻みにシェイカーを振る。
最先端のカラオケセットもあるが、今はピアニストが心地良い音色を奏でている――。

大阪駅にほど近い雑居ビルの2階。
表札には「The Bar」。テレビの司会者、弁護士、医師、不動産屋だか何だかがご機嫌で酒を呷っている。
ここは、オーナーに連絡した時のみオープンする会員制・完全貸切の秘密サロンである。

閑話休題。7月30日、“アメフト問題”に揺れる日本大学は、内田正人前監督(63)と井上奨(つとむ)元コーチ(29)を懲戒解雇処分とした。
そして同日夜、第三者委員会が最終報告書を公表。
本誌(「週刊新潮」)が“黒幕コーチ”と報じた人物の卑劣な行為が白日の下に晒された。

その男、井ノ口忠男氏はアメフト部コーチで日大の理事を務めていた。
報告書によると、反則した選手に口封じを試み、従わなければ「日大の総力を挙げて潰しにいく」と脅したという。

実は、この井ノ口氏の姉こそが冒頭の秘密サロンのオーナーなのである。

消えた“井上ケーキ店”

「お姉さんは広告代理店を経営しとってね。大口顧客は某パチンコチェーンやけど、ここ4、5年、チェーンの業績が低迷。それで代理店も資金繰りが悪なって、彼女も辛そうやったわ」

とサロンの会員が明かす。

「それが、去年くらいからお姉さんの機嫌が良うなったんや。“代わりの金づるを掴んだらしいで”なあんて話しとったら……」

それが“日大”だったというわけ。弟が日大理事に就任したのは昨年秋。なるほど、ビルのポストには「日本大学校友会大阪支部」なんて表札もある。
張り紙が貼ってあり、「郵便物は6階の会社へ」。井ノ口氏が代表を務める会社である。そもそも“日大ビル”というべきこのビルそのものが氏の所有なのだ。氏は7月4日に理事を辞任したというのだが……。

1階には、6月まで“1杯900円”の高級野菜ジュース店が居を構えていた。

「ジュース屋の前はケーキ屋。経営者は一緒やね」

と近所の主婦が語る。

「どっちの店もお客さんおらんくて、不思議やな思てたんやけど、あそこは卸しがメインやったらしいよ」

実はこの店も“日大”印だった。先の会員によると、

「井上元コーチの実家が経営していた店ですわ。『日本大学特製バウムクーヘン』というんを、ここから大学に納めてました。今はもぬけの殻になってます」

夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡。

「週刊新潮」2018年8月16・23日号 掲載

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180827-00547030-shincho-soci
8/27(月) 5:59配信

https://www.hochi.co.jp/photo/20180525/20180525-OHT1I50072-T.jpg
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