00013倍理論 ★
2018/08/24(金) 15:05:55.26ID:CAP_USER9気遣いができる男だな、と思った。
J2で首位(29節終了時点)を走る松本のキーマン、岩上祐三をインタビュー取材した。話を訊く前に、ユニホーム着用の撮影を実施。ボールを持ったカットをお願いする際、何気ない所作に人柄がにじみ出る。無造作にボールを手渡すと、岩上はカメラのほうを向きながら、ボールをクルっと回す。アディダスのロゴマークがきれいに見えるように。
「風が強い? じゃあ、撮影は止めにしましょう!」
スパイクの紐を結びながら、岩上はそんな軽口を叩きつつも、撮影ではこちらがリクエストするポーズをすべてこなしてくれた。
今季、3シーズンぶりに古巣・松本に戻ってきた。大宮からの完全移籍。「葛藤はあった」が、湘南時代にも以前の在籍時代にも指導を受けた反町康治監督の存在が、移籍を決断した理由のひとつだった。
開幕からの3試合はベンチを温めたが、4節・岡山戦でスタメン出場すると、以後は右ウイングバックのレギュラーとして、自慢のスタミナと正確なキックを武器にチームを攻守両面で支えつづけている。
右ウイングバックのポジションを争うのは、チームの絶対的存在である田中隼磨だ。クラブ史上初のJ1昇格を果たした2014年時は、岩上がシャドー、田中がウイングバックを担い、同サイドの両者は好連係を見せていたが、今季はライバル関係に――。
当時から田中をリスペクトする岩上は、このシチュエーションをどう受け止めているのか。「楽しいし、感謝しています」と岩上はその胸の内を明かす。
「ライバルがハユさん(田中)じゃなかったら、多少緩いプレーをしても、まあ大丈夫でしょ、となるような気がするんですよ。でも、ライバルはハユさんだから、ちょっとでも気を抜けば、すぐに取って変わられる。そういう危機感は常にあるし、緊張感を持ちながら日々サッカーに打ち込めている。だから、感謝なんです」
岩上にとって田中は、今も「大きな存在」
岩上が先発で出場し、終盤に田中と交代するケースは少なくない。タッチラインでふたりが固く抱擁する姿からは、確かな信頼関係が見て取れる。
「ハユさんからは『おつかれさん』『俺がやってくるから』と声をかけてもらったりもするし、僕も、マッチアップする相手の情報を、短い言葉で伝えることができている。まあ、僕の言うことなんて、経験のあるハユさんにとって、どれだけタメになっているか分からないけど(笑)」
岩上にとって田中は、今も「心強いし、大きな存在」だ。地元出身の背番号3は、スタメンを外れても決して不貞腐れず、チームのために戦う姿勢を貫く。だからこそ、岩上も「全身全霊を捧げてプレーする。それをしないと、ハユさんに失礼だから」。
守備が苦手な岩上は、「それこそ練習中からハユさんのプレーをよく見るようにしている」という。「こうふうにやればいいのか、やっぱり上手だな」と感嘆する。ただ守備のコツを積極的に質問することはしない。理由は「自分なりの型を作りたいから」。それでも、田中のほうからアドバイスをもらうこともあり、良好なコミュニケーションが取れている。
「最初に右サイドで使うと言われて、ライバルになるのは分かっていましたけど、ハユさんとなら、以前にも一緒にプレーしているからお互いのことは理解し合えているし、良い関係を築けていると思っています」
強い絆で結ばれつつ、切磋琢磨し合うふたりの熾烈な競争も、昇格戦線をリードする今季の松本の見どころのひとつだろう。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180824-00046151-sdigestw-socc&p=2