高校野球部の休日の練習時間は他の運動部の約2倍の長さになっているという調査結果を、公益財団法人「笹川スポーツ財団」(SSF)が発表した。長時間練習は野球部員に特に多く、熱中症の一因にもなるが、選手の不満は少ないことも判明した。今夏の猛暑では夏場のスポーツ練習のあり方なども話題になったが、監督やコーチら指導者たちは意識改革を求められそうだ。

調査は、SSFが昨年6月24日〜7月20日に実施した「12〜21歳のスポーツライフに関する調査」。全国の市区町村に住む3千人にアンケートを行い、1636人から回答を得た。

 SSFによると、高校の野球部の週当たりの平均活動日数は6・57日(他の運動部5・73日)、練習時間は平日で3・43時間(同2・58時間)、休日で7・7時間(同3・74時間)となっていた。長時間練習の傾向は中学の野球部も同様で、スポーツ庁が今年3月に示した運動部の活動に関する指針の「休養日は週2日、活動時間は平日2時間程度、休日3時間程度」という範囲を大きく超えている。

 また、クラブ活動中に熱中症で死亡する中高生の25%は野球部員で、その原因が長時間練習とみられるという独立行政法人「日本スポーツ振興センター」(JSC)の調査もある。一方、SSFの調査では練習時間の長さに不満を感じている高校の野球部員は全体の21・7%と低く、他の運動部員ほど不満を感じていないことも分かった。

 調査を担当したSSFスポーツ政策研究所の鈴木貴大研究員は「厳しい環境で成功体験を重ねることで長時間練習が正当化されているのでは」と指摘。「指導者が長時間練習のリスクを知り、練習の効率化に努めてほしい」と述べている。

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