第100回全国高校野球選手権大会は17日、甲子園で3回戦4試合が行われ、ベスト8が出揃った。第2試合では剛腕・吉田輝星(3年)を
擁する金足農(秋田)が横浜(南神奈川)を5―4で下した。吉田は14奪三振の力投で3試合連続完投。この日は同点2ランを含む3安打で
バットでも存在感を示した。プロ注目右腕の投打にわたる大活躍の裏には必勝ルーティンがある。

ここまで2試合連続完投で計311球を投げていた吉田は初回、いきなり先頭打者に三塁打を許すと次打者の一ゴロで先制点を献上。
その後も連打と四球で一死満塁のピンチを招き、暴投で2点目も与えた。

そんな悪い流れを断ったのが、秋田県大会で打率3割5分3厘を誇った自慢のバットだ。0―2の3回二死から主将の佐々木(3年)が三塁打で
出塁すると、吉田が同点2ランで試合を振り出しに戻した。2―4と再びの劣勢で迎えた8回も吉田は先頭打者でこの日3安打目となる中前打で出塁。
一死一、二塁から飛び出した高橋(3年)の逆転3ランの呼び水となった。

1点リードで迎えた9回は今秋ドラフト候補のスラッガー、4番・万波から3者連続の空振り三振。最後の打者、角田の打席では自己最速タイの
150キロをマークし、ラストの164球目も146キロ。吉田は「仲間が逆転してくれたので、最後は全員三振のつもりで投げた。疲れていたけど、
自分の力以上の力を仲間が引き出してくれた」とチームメートに感謝。金足農は23年ぶりの8強入りを決めた。

プロ注目の吉田には試合中に必ずやるルーティンがある。その試合最初の守備に就く際にマウンドでかがみ、ロージンバッグを右手で触った後に
中堅手の大友(3年)に向かってシャキーンと刀を抜くしぐさをするというものだ。最後の守備のはじめには刀を納め、大友も呼応するように同じ
しぐさをする。吉田のグラブの内側にはカタカナで「シャキーン」と刺しゅうが入れてあるほど、こだわりのキーワードだ。

由来は吉田と大友が移動バスの中などでリラックスするためにしていたゲーム。「チンチン侍」というもので「侍」と言われたら「シャキーン」と返し
「オチンチン」なら「ビロ〜ン」と返す。僚友の大友は「秋田大会前から2人して試合でポーズをしています。『ビロ〜ン』はグラウンドでやるのは
ふさわしくないので『シャキーン』の方にしました。これをやるとリラックスして試合に入れます」と説明する。

吉田は3試合で計41奪三振。3試合連続完投で球数は計475球に達しているが「次は完封したい」と意気込む。シャキーン効果で、まだまだ高みを目指す。

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