>>1続き

 (株)I.Y.Oの 音楽プロデューサーで作曲家の油布賢一氏は、「POPS隆盛の現在の日本音楽シーンにおける日本人の洋楽への憧れもありますが、J-POP、いわゆるポップスやロックは日本固有の演歌や音頭と違い、もとは海外から派生したジャンルを模倣するところから始まっており、BPM(テンポ)も早いものが多く、16分音符などの早い展開も多いため、はっきり発音しないといけないイコール、いわゆる母音が50音すべてに含まれている日本語とはあまり相性が良くないんです」と、分析する。

 かたや英語を司るアルファベットは24音中、母音が5個しかなく、1つの単語内において子音のつながりで読むことができるものが多いのだとか。

 「英語の場合は子音が母音の間で緩衝材となり、スムーズに次の言葉につながる。よって、つなぐ過程において子音が多い英語を重用するのは音楽業界にいる私たちにとっては当たり前。むしろ深くそんなこと考えたこともないです」と、笑う。

 続けて、「J-POPでもバラードやミディアムにおいては母音をしっかり発音することは可能なので、全歌詞が日本語でも違和感はないですが、比較的早いBPMの楽曲では(全歌詞日本語も存在するが)、グルーヴ、いわゆるノリの面に関して、たとえ発音がネイティブではない和製英語でもそちらを使用するほうが次への単語やセンテンスへのつなぎがスムーズなので重用されます。加えてJ-POP、J-RAPは洋楽を取り入れて独自にカスタマイズされ、もはやガラパゴスな日本に根付いており、ビジネス的にも文化的にも国内のみで成り立っている状態です」と、指摘する。

 つまり、海外を意識せずともある程度国内で浸透し、ビジネスが可能な分野になっているというのだ。英会話が苦手な日本人には、発音を気にしない和製英語のほうが多くの人に伝わりやすく、あえてネイティブな外国語にする必要もないという考え方なのだろう。
(続きはソースをご覧下さい)