野村克也氏の“右腕“松井優典氏が解説「鍛え甲斐のあるピッチャー」

第100回全国高等学校野球選手権記念大会第4日の第2試合で、金足農(秋田)が5ー1と鹿児島実(鹿児島)に快勝し、23年ぶりの初戦突破を決めた。
プロ注目の右腕・吉田輝星投手が9回157球を投げきり、9安打14奪三振1失点の快投。
その実力を存分に見せつけた。
野村克也氏の“右腕“としてヤクルト、阪神、楽天でヘッドコーチや2軍監督を務めた松井優典氏も
「洗練された完成度の高い投手」と称賛。育成のプロとして「鍛え甲斐のあるピッチャー」と評価した。

吉田は130キロ後半から140キロ後半の直球を使い分け、相手打線に的を絞らせなかった。
松井氏も「それがこのピッチャーの一番の持ち味です」と説明する。

「同じ投げ方で真っ直ぐの球速の幅をつけられる。バッターからしたら、直球はどのボールも同じ投げ方に見えているはずです。
同じ投げ方で139キロの真っ直ぐが来たと思ったら、今度は外角高めに140キロ台後半が来る。
左打者があれだけ外角高めの真っ直ぐで空振り三振するのは、打者からしたら、見送れないボールだからです。

ただ、同じ腕の振りで変化球を投げられるか、というのは1つの課題になります。
それができれば、球数ももっと減る。
例えば、9回に右打者の西畑君から外角へのスライダーで三振を取りましたが、ああいう形がもっと早いイニングから増えていけば球数も減ると思います」

左打者から空振りを取ってはいたものの、高めへの真っ直ぐが多いという特徴には、何が表れているのか。
松井氏はここにも「課題」があると指摘する。

「ランナーを出しながらでも差し迫ったピッチングをしない」

「あれだけのピッチャーですが、そこには投げ方の問題もあると思います。でも、右打者の内角を狙ってシュート回転すれば、逆にいいボールになります。
吉田君のピッチャーとしての特徴はそこに出ている。それが、ここから勝ち進んでいく時にどう影響していくか。
先程も言ったように、9回に右打者の外角へのスライダーで三振を取りましたが、
そういうピッチングをしていかないと、これからもどんどん球数が増えていく可能性があります」

ただ、そんな「課題」を補って余りある魅力が吉田にはあるという。松井氏が絶賛するのは、その「完成度」だ。

「完成度の高いピッチャーというのが絶対的な評価です。まず、ランナーを出しながらでも差し迫ったピッチングをしない。余裕すら感じながら投げています。
ピッチング以外のところでも、牽制、フィールディングのうまさ、クイックの良さとか、そういうものはほとんど出来ている。総合力が高い。

牽制の技術でいえば、吉田くんは長く持ったり、短く持ったりできます。
ワンテンポで1つのリズムだけで牽制をしたり投球をしたりということではなく、自分の判断の中で長く持ったり短く持ったりできます。こういうところにはセンスが出ます。

野手としてのセンスの良さも感じます。走者として三塁に進んだときのスライディングのスピードなどを見ていると、かなりレベルが高い。
フィールディングは二塁に投げたプレーはありませんでしたが、一塁に投げる時の判断の良さとか、判断した後に余裕をもって投げるところとか、
脚のステップの使い方とか、これを見ていたら野手としてもかなり高いレベルになる可能性も感じます」

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180808-00175305-fullcount-base
8/8(水) 21:08配信