果たして、思い通りにいくのかどうか。

 阪神が今秋ドラフトで、大阪桐蔭の藤原恭大外野手(3年)と根尾昂内野手(同)をそれぞれ1位候補としてリストアップしている。

 阪神の外野陣は両翼を担う糸井嘉男(37)、福留孝介(41)の高齢化が進み、さらに中堅も日替わり起用。二刀流・根尾のポジションである遊撃も、ここ最近は北條史也(24)がスタメン出場しているものの、完全に固定できないままでいる。3年後、5年後を考えれば、魅力的な2人であることは間違いない。

「とはいえ、問題はあります。阪神では、藤原や根尾の高校の先輩である藤浪晋太郎(24)が伸び悩んでいますからね」とは、高校野球に詳しいスポーツライター。

「藤浪は新人年から3年連続2ケタ勝利をマークしたものの、その後は尻すぼみ。いまや立ち直る気配もなく、阪神の指導力不足を指摘する声もかまびすしい。大阪桐蔭はプロ入りしたOBが多いだけでなく、現役の生徒たちとのつながりも深い。オフに生徒たちが練習する傍らで、自主トレを行うOBがたくさんいるので、各球団の評判は生徒たちに筒抜けです。浅村や森などが主力として活躍する西武と比べて、マイナス面が大きいのですよ」

 逆指名制度があった時代とは違い、今の選手は行きたい球団を選ぶことはできないが、「行きたい球団」や「行きたくない球団」は誰にだってある。「先輩が活躍している球団」や「育成がうまくいっている球団」に興味や関心を抱くのは当然だ。

 しかも近年は「U18」などの代表チームで、ドラフト候補が一堂に会する機会も増えている。「去年、あの在京球団に入った投手が開幕直後にいきなり手術した」などという話を選手同士が持ち寄り、情報が共有される。前出のスポーツライターは、「高校野球の監督の中には、行かせたくない球団のスカウトにわざと冷たい態度をとる人もいます」と言う。

 高校球界の関係者は、「阪神は活躍すれば人気モノになれるし、高い年俸ももらえる。ただ、最近は金本監督の起用法の評判が良くない」と、こう続ける。


「育成重視の方針を掲げながら、なかなか若手が育っていません。見切りが早く、ちょっとでも打たないとすぐにスタメンを外されたり、二軍に落とされたりする。これでは、指導者も生徒も良い印象は抱きません」

 いくら藤原や根尾を取りたいと思っても、悪評の多さが阪神のドラフト戦略に影を落としかねないのだ。
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