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2010年を境にサッカーの戦術が進化するスピードが上がりまくったから
それまでせいぜい5年か10年に1回どこかの名将が革新を生み出すくらいのペースだったのに分析のIT化と試合中継のグローバル化で瞬時に試合映像とデータが手に入る時代になって、戦術の更新が1年毎に起こるようになってしまった

60年代はまだマンツーマンでの時代だった
だが個人技に優れた南米勢を止めるのが難しくなる
そこで60年代後半からカバーリングを容易にするラインDFが導入される

70年代に入りこのラインDFを突破を目指してポジションチェンジが導入される
クライフ、ベッケンバウアーの時代がこれだ

そして80年代に入るとこのポジションチェンジやテクニシャンを潰す組織守備が構築し始める
サッキミランのゾーンDFとラインDFを組み合わせたプレス→90年代前半セリエのそのプレスをDFのみならずMFやFWにも行わせるように

2000年に入り、テクニシャンを活用するためいわゆるトップ下と呼ばれるプレスのキツイ位置からプレッシャーの薄いサイドや一列後ろのボランチに配置されるようになる
ジダン、ロナウジーニョ、ピルロあたりがこれだ

そしてモウリーニョがポルトで彼特有のブロック守備の理論を構築、確立させてバイタルエリアからサイドまでを強固にしてCLでその効力を示したのが2003年、もう15年前

1、それをチェルシーに持ち込み2000年代前半のプレミアの隆盛を引き起こす

2、そのブロック守備を崩す方法論として間受け、楔、サイドアタック、前プレを併用したペップバルサを始めとするポゼッションサッカーが生まれる(これでさえ2008年、もう10年前)

3、このポゼッションサッカーに対して守備を固めるのではなく、走力で囲い込みトランジッションの回数を意図的に増やす事でミスを誘発してショートカウンターを狙うゲーゲンプレッシングが生まれる
2012-13シーズンにドルトムントがレアルを、バイエルンがバルサを完膚なきまでに叩きのめし2014年にドイツ代表がワールドカップで優勝した事などに象徴される

4、そのゲーゲンプレッシング封じのために生み出されたのがプレス外しの可変フォーメーション
象徴的なのが433のアンカーがDFラインに吸収され、更にSBが前に張り出し、3バックに移行させる事で前プレを空転させてビルドアップを行う手法

5、この可変フォーメーション対策として練り上げられたのがポジショナルプレー
つまりラインやブロックではなく、選手個々のポジショニングによる「網」を作って相手が可変フォーメーションで行うビルドアップのボールを搦め捕り、同時に攻撃へ瞬時に移れるようにする攻防一体の策

6、このポジショナルプレー破りとしてサイドバックをインサイドに動かしたり、逆にボランチをサイドに張らせたりなどのポジションチェンジにより
敵のポジショナルプレーによるポジショニングから斜めなどにズレて敵のコースカットやプレスを無効化させてビルドアップからの縦パスを入れていく戦術が現在生まれつつある

ちなみに近年ウイングの選手の移籍金が馬鹿高くなっているのはこのポジショナルプレーとビルドアップの出口がサイドの高い位置にしか無くなっているから
バイタルエリアはもうトップ下の選手の個人技頼りなんかではもう攻略出来ない
ピッチを縦に5分割した5レーンのセンター、インサイド、アウトサイドのうちサイドの奥、またはハーフスペースと呼ばれるインサイドのPA角
この小さなスペースを活用するしかなくなっている