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今度は「すずさん」と呼ばれるように 松本穂香さん
https://digital.asahi.com/articles/ASL7F0FWML7DUCVL027.html

 約3千人のオーディションから、戦時下を前向きに生きるヒロインの座を射止めた。

 TBS系で放送中のドラマ「この世界の片隅に」(日曜夜9時)で演じる“すず”は、
太平洋戦争中に結婚、広島・呉へ。激動の時代を、夫・周作(松坂桃李)と手を取り合い
暮らす日々を丁寧に描く話題作だ。アニメ映画にもなった同名漫画が原作だ。

 脚本は岡田恵和。「岡田さんの書く本は、悪い人が出てこない。一瞬一瞬、出てくる人
みんながいとしくなるような作品」だという。一生懸命楽しく生きようとした人々の日常。
「ただ、そこが戦争の時代だったというだけで」

 NHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ひよっこ」で演じた「青天(なばた)目(め)澄子」が
記憶に新しく、いまだに役名で呼ばれることもある。「あんなに役を愛してもらったのは、
本当にすごいことだったんだなと思います」。今度は「すずさん」と呼ばれるように、まずは
自分が、この役をもっと好きになりたいと話す。

 高校時代は演劇部。朝ドラ「あまちゃん」は欠かさず見ていた。主人公の祖母を演じた宮本
信子は今作でも、すずの祖母役。「一対一でお芝居ができるなんて1ミリも思っていなかった」。
どうしたら緊張しないか宮本に尋ねると「わかってくるわよ。大丈夫よ」と言われた。

 エンドロールで名前を見て気づくような、演技に幅のある女優になりたい。ジブリ作品の声優に
も憧れるが、今作は久石譲が手がける音楽の効果もあり、まるでジブリ映画のような温かで重厚な世界観が広がる。

 少し夢がかなったのでは?(文・矢田萌 写真・工藤隆太郎)