広報部長は「選手たちがどう考えるかだね」

悲願のワールドカップ初優勝に向け、いよいよフランスとの一大決戦を迎えるクロアチア代表。下馬評ではやや劣勢を強いられているが、延長戦やPK戦を勝ち抜いてきたメンタルタフネスは尋常ではなく、チームとしての団結力も特筆に値する。
 
 そんなバルカンの雄だが、実は最終登録の23名よりひとり少ない22名で戦ってきたことを忘れてはいまいか。グループリーグ初戦のナイジェリア戦のあと、30歳の熟練FWニコラ・カリニッチが追放処分を受けたからだ

 ズラトコ・ダリッチ監督が怒り狂ったのは、ナイジェリア戦でのカリニッチの振る舞いだった。ゲーム終盤の85分に途中出場を命じたところ、「背中に痛みがあるから出れない」と拒否したのだ。前日練習でも直前練習でも問題なく身体を動かしていただけに、指揮官はこれを虚偽と見なし、先発落ちに対する反抗的な態度と受け止めたのだ。一枚岩の闘う集団が形成されるなか、ダリッチ監督はチームの弊害となり得るカリニッチを切り捨てた。ミランのストライカーはすぐさま、開催地ロシアを去ったのである。
 
 
 誰もが忘れかけていた事件だが、決勝を前日に控えた記者会見の場で、クロアチアの報道陣がクロアチア・サッカー協会のメディアオフィサーであるトミスラフ・パカク氏に、「もし優勝してもカリニッチにメダルは授与されないのか?」と問いかけた。広報部長は優しい口調で「どうだろう。様子を見るしかない。なによりもほかの選手たちがどう考えるかだろうね」と私見を述べたうえで、協会としての決定は下していないと答えている。
 
 FIFA(国際サッカー連盟)の登録上は、いまでもカリニッチはクロアチア代表の正式メンバーである。メダルの色が金になるのか銀になるのかは分からないが、さすがに怪我で離脱しわけでなく、追放された選手の手元には……。前代未聞のシチュエーションだけに、結末が気になるところだ。

7/15(日) 7:01配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180715-00043971-sdigestw-socc

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