欧州ビッグネームがまたJリーグ加入だ。元スペイン代表FWフェルナンド・トーレス(34)が、かねてから加入が噂されていたJ1鳥栖に完全移籍した。5月にJ1神戸へ移籍したアンドレス・イニエスタ(34)に続いた。現役最後の活躍の場としては、中国や米国を選ぶ選手が多い中、日本を選ぶのにも理由がある。

 5月30日にJリーグ公式サイトが鳥栖入りをフライング発表。Jリーグが謝罪したものの、交渉決裂ともささやかれていた。鳥栖のホームページには「誤報じゃないよ! ほんトーレス!」と書かれたタオルを広げるトーレスの写真が掲載され、サポーターに待望の移籍を知らせた。

 推定年俸5億円超ともいわれるそのビッグディールを成立させた背景には、2017年以降、Jリーグの中継配信を一手に担う「DAZN」の存在がある。

 DAZNはブックメーカーの資金を背景に、英「パフォーム・グループ」がスポーツ専用の映像配信サービスを展開している。日本国内で加入者を増やしたいDAZNは、欧州でのコネクションを生かし、Jリーグのクラブにビッグネームの加入を仲介。老舗クラブが獲得に難色を示す中、手を挙げたのがベンチャー企業をスポンサーに持つ鳥栖や神戸というわけだ。DAZNにとってはビッグネームの活躍を全世界へ配信でき、仲介役を担うことは加入者増進へのいわば「必殺技」というわけだ。

鳥栖入りするトーレスは、2010年のW杯南アフリカ大会で優勝したスペイン代表メンバーで、世界屈指のストライカー。大一番にめっぽう強く、長時間居残り練習をするマジメ男でもある。一方、商売道具のスパイクをスタジアムに忘れ、翌日自ら取りに戻るという“天然”系の一面も併せ持つ。

 イニエスタの加入決定後、神戸のチケットの売り上げは約7倍になり、アウェーでも神戸の試合の売れ行きは好調で、他チームにも恩恵がある。トーレス人気が証明されれば、今後もさらなるビッグネームのJリーグ入りが期待できる。

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