日本は1勝2敗1分け・ベスト16という結果に終わった、サッカーワールドカップロシア大会(以下、W杯)。2010年の南アフリカ大会以来の決勝トーナメント進出とあり、日本中が大いに盛り上がった。

 いつもはあまりサッカーを見ないという人も、W杯期間中はレベルが高い世界のサッカーに夢中になったという人もいるだろう。これを機にサッカー観戦に興味を持った人には、いつでもどこでも試合を見られる動画配信サービスなどがお勧めだ。

 日本のサッカーファンにとってなじみ深いものの1つに、英Perform Groupが運営するスポーツ専門の動画配信サービス「DAZN」(ダ・ゾーン)がある。しかし、基本的には日本のJリーグやイングランドのプレミアリーグなどのメジャーな試合が対象だ。

 マイナーリーグ含め、もっと世界各国のいろいろなサッカーの試合を見てみたい――そんな要望に応えるのが、スイス発のベンチャー企業mycujoo(本社はオランダ)が2015年にリリースした、サッカー専門の無料配信サービス「mycujoo」(マイクージュー)だ。

 日本ではなじみ深い日本女子サッカーリーグ(なでしこリーグ)から、ウズベキスタンやブータンのリーグ、欧州のビーチサッカーリーグまで、同社がパートナーシップを結んだ世界のさまざまなリーグの試合が見られる。7月時点で、6大陸80カ国以上の配信パートナーがいるという。

 ライブ配信とオンデマンド配信に対応し、スマートフォンアプリ(iOS/Android、無料)の他、PCやスマホのWebブラウザでも視聴可能。17年は4200試合を配信し、今年は6月末時点で5000試合を配信済みという。月間平均ユーザーは100万人以上で、17年の総視聴回数は4000万回を記録した。試合以外に、選手インタビューや記者会見なども見られる。

 ユーザーはブラジル、ポルトガル、米国などの国が多いが、意外にも東南アジアの試合が人気という。7月13日まで配信されるASEANサッカー連盟(AFF)の女子選手権では1試合7.2万ビューを超える試合もあり、アジアカップ予選のマレーシア対北朝鮮戦は12万ビューを果たすほどの人気だった。

 世界80カ国の試合を無料で見られるのは、サッカーファンにとってはありがたい。なぜ、他では放送、配信されないマイナーリーグの試合も視聴できるのだろうか。
試合はスマホで配信

 mycujooは、スマホアプリで視聴と配信を両方行えるのが特徴。契約を結んだパートナー(協会、リーグ、大会主催者やクラブ)がスマホやタブレットで手軽に試合を配信できるため、なかなか見られないマイナーリーグの試合も視聴できるというわけだ。ビデオカメラでの配信、テレビの中継映像を流すことなども可能。

 配信者側の利用も基本は無料。プレミアムプランでは、スポンサー獲得支援や試合中の配信技術サポートを受けたり、広告収入のレベニューシェアを得られたりする。サイト内のバナー広告や動画再生時に配信する広告の再生回数によって、得られた収入をmycujooと配信パートナーで分ける仕組みだ。

 配信画面には、対戦チームの情報やスコア、試合会場、視聴者数などを表示。ハイライト機能も用意しており、配信者側が手動で重要なシーンをタグ付けすれば、ゴール、ファウル、フリーキック、イエローカードといった試合の大事な場面へワンタップで飛べる。

 これらのハイライトクリップは、TwitterやFacebookなどのSNSで試合終了を待たずにシェア可能。このように、ワンタップで特定のシーンに飛ぶことができるのはYouTubeやFacebook Liveなどにはない特徴といえる。

 網羅性の高いユニークな配信サービスはいかにして生まれたのか。また、なでしこリーグ契約の裏で奔走した日本人社員にも話を聞いた。