日本サッカー協会が次期日本代表監督の最有力候補に挙げているユルゲン・クリンスマン氏(53)が7日、滞在先のロシア・モスクワでスポーツ報知の単独取材に応じた。後任監督候補に名前が浮上してから、肉声で触れたのは今回が初めて。ドイツ、米国代表監督を歴任した元ドイツ代表FWは「日本でのうわさは真実ではない」「推測にすぎない」と監督就任が間近に迫っていることは否定。日本サッカー協会は有力候補として近く交渉に入る可能性がある。

 クリンスマン氏はつば付きの帽子を目深にかぶり、目立たない深緑色の服をまとっていた。背中にはリュックサック。モスクワ市内にある川沿いを散歩していたのだろうか。スポーツ報知記者の「クリンスマンさんですか」との問いかけに「はい」と帽子を取った。その後、取材許可を求める言葉には「ノー」と拒否した後で、日本での報道に自ら触れた。

 「日本でのうわさは真実ではない。推測にすぎないから、これ以上話をすることはできない」

 それだけ言い残すと「バーイ」と握手をして、去っていった。西野朗監督(63)の後任監督にリストアップされていることが判明してから、初めて監督問題について発した肉声だ。本紙の取材を受ける前には自身のツイッターを更新。「日本で監督業をするとのうわさについては全く真実ではない」と発信していた。

 日本サッカー協会は最有力候補として同氏をリストアップしている。同氏に近い知人も「まだ(日本協会から)オファーは来ていないが、ユルゲンは興味を持っている」と証言。現在は水面下で話し合いをしているとみられるが、契約はサインするまで何が起こるか分からない、0か100の世界。同氏は、何も決まっていない状況を強調したかったようだ。

 日本サッカー協会の田嶋幸三会長(60)が10日にW杯視察のため、モスクワ入りする予定。英BBC放送の解説者として当地にいる同氏と接触する可能性がある。田嶋会長は5日のW杯帰国会見で、次期監督人事について「白紙」と強調しながらも、9月7日には新生日本の初陣、来年1月にはアジア杯を控えることから「早い時期に決めたい」と今月末までには新監督を決定したい考えだ。

 20日に行われる技術委員会で、後任監督との交渉状況、方向性が報告される。中には日本人監督を推す委員もおり、さらにドイツ専門誌キッカーでは、カメルーン、ジャマイカ代表を率いた経験があるドイツ人のシェーファー氏(68)が候補と報じられている。その中で、日本協会はクリンスマン氏を最有力候補として、同月末に予定される理事会で新監督の承認を目指している。

 ◆ユルゲン・クリンスマン 1964年7月30日、ドイツ生まれ。53歳。現役時代はバイエルン(ドイツ)、インテル(イタリア)などでFWとして活躍。2004年にドイツ代表監督に就任し、自国開催の06年W杯で3位。08年から09年途中までバイエルンの監督を務め、11年から米国代表監督に就任。14年ブラジルW杯では1次リーグを突破し、16強に導く。16年11月に成績不振を理由に解任された。182センチ、73キロ。

 ◆クリンスマン氏を巡る動き

 ▼6月14日のW杯開幕前 クリンスマン氏に近い関係者によると、日本サッカー協会・田嶋会長がドイツを訪問。大会期間中に田嶋会長が同氏と接触したとの情報も。

 ▼7月2日 日本代表の敗退を受け、次期監督人事が本格的にスタート。同氏がリストアップされていることが判明。

 ▼5日 西野監督の今月末での退任が発表される。

 ▼6日 同氏が日本代表監督就任に強い興味を示していることが判明。近い知人が、スポーツ報知の取材に「ユルゲンは興味を持っている」と語った。

スポーツ報知 7/8(日) 5:03配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180708-00000001-sph-socc

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