●長谷部も最初から完璧なキャプテンだったわけではない

長谷部誠が代表引退を表明した。これで関心事のひとつになるのが、日本代表の次期キャプテンは誰かということである。順当に考えれば、吉田麻也が最有力候補だが、それでは面白くない。
 
 勘違いしてもらっては困るが、吉田がキャプテンに相応しくないと主張しているわけではない。むしろ吉田はすでにリーダーとしての資質を備えており、キャプテンという役割を任せなくても十分にチームを引っ張ってくれるはずだ。「4年後を見据える」という長友佑都もすでに“自分がベテランとしてやるべき役割”を理解しているし、経験だけでキャプテン選びをしてほしくない。
 
 個人的に推薦したいのは、柴崎岳だ。本人は否定するかもしれないが、ロシア・ワールドカップで日本をプレー面で引っ張っていたのは間違いなく彼だった。相手の出方に応じて長短のパスを使い分けるなど、インテリジェンス溢れるパフォーマンスは印象的だった。
 
 しかも、今大会を通じて代表への考え方、重みみたいなものも変わったはずだ。実際、彼はベルギー戦の翌日にそんなニュアンスの質問に対し、次のように答えている。

「大会前と違ったものになっているかもしれません。さらにこれからを考えさせられるようなものにもなりましたし。若いころのような漠然としたものではなく、さらに責任感もそうですし、そういったものが身体にまとわりつくような感覚も今大会はあったりしたので、ワールドカップを終えたからこそですけど、自分にとっての日本代表というものの考え方や捉え方は徐々に変わってきているのかなという想いはあります」

 長谷部も最初から完璧なキャプテンだったわけではない。そういう立場で試合を重ねていき、様々な経験を経て、現在に至ったのである。だからこそ、柴崎のような楽しみな人材にキャプテンマークを託してはどうかと考えてしまう。

 「引っ張っていかなきゃ、引っ張っりたいという気持ちは沸いていますか?」というある記者の質問については、「いやいや、まあ僕はそんなタイプでもないのでね。もっともっと自由気ままにやっているほうが自分らしいかなとは思うので、あまりいろんなものをしょい込み過ぎずに、頼れる仲間たちと分散するところはしていきながら、いろんな形で支え合いながらやっていきたいと思います」と答えている。
 
 ただ、こちらこそ「いやいや」である。ピッチで責任を果たそうとする姿勢、ミックスゾーンで質問の意図を理解したうえでの回答、そういうものをひっくるめれば、十分にキャプテンとしてやっていける資質はあるのではないだろうか。

サッカーダイジェスト7/5(木) 6:20配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180705-00043464-sdigestw-socc

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