岡田武史

「『醜く勝つぐらいなら、美しく負けた方がいい』というクライフの哲学が日本人は大好きなんだ」
「『そこまでは素晴らしい、あとは決定力だけ』って言いますよね。でもそれって、『この医者は腕が良い、でも患者は死ぬ』ということと同じじゃないですか」って。
その通りだよね。点を入れないと勝てない。それなのに、日本人は過程にこだわって、勝つことに対する価値観が薄すぎる」
「日本人は美学を持っていて、そのこと自体は素晴らしいことなんだけど、時として美学が言い訳になる。それこそ「美しく負けるほうがいい」というね」
「エディー(・ジョーンズ/ラグビー元日本代表監督)とも同じような話をしたな。「オカ、日本人の特徴、どう思う?」と言うから、
「美学に酔ってしまって、言い訳にすることがあるよ」と答えたら、「そうだろう」とエディーは言っていた。「日本人は素晴らしい民族だけれど、そこは俺には理解できない」って」
「日本の社会では難しいと思う。出過ぎるとね、打たれるから。だいたい日本って、前任者否定から入るでしょう」