●柴崎を起用するチョイスは賢明だった

コロンビアを相手に2−1の勝利を収めた日本代表について、本格的な論評を提示するのは非常に難しい。それはそうだろう。なにせ試合開始から3分でカルロス・サンチェスが退場になり、いきなり状況は一変したのだ。
西野朗監督が思い描いていたゲームプランは、あらゆる面で有利に働いただろう。11人対11人のままだったら、はたして同じ結果が導き出されただろうか。確実だったとは言い難い。
 
とはいえ、日本選手たちには一定の安心感があった。それを支えたのは組織的なディシプリン(規律)であり、あの数的有利な状況を最大限に活かしたという意味では、称えられて然りだ。
また、中盤に柴崎岳を起用するチョイスは賢明だったし、最前線に岡崎慎司より大迫勇也を優先したのも適切だった。

西野監督は、前任者が遂行した仕事のすべてをゴミ箱に捨てるようなことはしなかったのだ。言わば、インテリジェンスを発揮したと言える。とくに根本的な戦術プランを変えずに維持し、
そこに指揮官ならではの“タッチ”を加えたのが特徴的だった。かくしてヴァイッド・ハリルホジッチ前政権に構想外だったふたりのスター、香川真司と本田圭佑はふたつのゴールで決定的な役割を果たした。みずから「恩寵復帰」を正当化してみせたのである。
 
こうなると、続くセネガル戦は興味津々だ・
セネガルは猛烈なフィジカル・チャレンジを突きつけてくるだろう。それに対して日本人選手たちはいかに立ち向かい、対処するのか。これこそが、日曜日のエカテリンブルクで行なわれる一戦における、最大の関心の的だ。
 
アリウ・シセ監督率いる男たちは、コロンビア選手たちよりもはるかにアスリート能力が強い。エムバイ・ニヤング、イスマイラ・サールといったスペースを強烈に突いてくるアタッカーがおり、きわめて危険なカウンターアタックを仕掛けてくる。
守備面もしっかり整備されていて、サリフ・サネとカリドゥ・クリバリのCBコンビは守備強度が抜群で、経験値もすこぶる高い

●セネガルは今大会の「最優秀アフリカチーム」
 
チームの精神的支柱となっているのが新主将、サディオ・マネである。ポーランド戦ではずいぶん影が薄かった。この日本戦ではきっと別の顔を見せつけてやろうと、そうとうに熱いハートをたぎらせているだろう。
我々がリバプールで見慣れているあの本来の顔を――。
 
ロシア・ワールドカップの最優秀アフリカチーム、それがセネガルだ。論理的に考えれば、日本より力は上である。
 
サムライブルーにとっての鍵は、「デュエルに勝てるキャパシティー」と「劣勢に立たされてもブレない軸」を維持できるか、そして、「攻撃のリスクを冒しすぎないこと」の3点に集約されるだろう。
日本はどうしても勝利しなければならない義務的状況にはなく、ドローという結果をもぎ取れれば、かなりいい結果だと言える。
 
ワールドカップのグループリーグでは、リスク管理やポイントの計算も的確に行なう必要がある。日本は試合を通じて一貫して、この点を頭の中に叩き込んでおかなければならないのだ。
 
文●レミー・ラコンブ(フランス・フットボール誌編集長)
翻訳●結城麻里

6/23(土) 5:44配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180623-00042743-sdigestw-socc