日本サッカーの父と言われるクラマーが代表チームを強化するため
日本に招かれた時、日本に降りるや真っ先に関係者に言ったのが
「この国で最も人気のあるスポーツチームの練習場を見せてほしい」
というものだった。
それを見れば、日本という国のスポーツ施設の充実度ばかりでなく、
「スポーツ」や「トレーニング」というものに対する日本という国の意識、
日本人の民度を知ることができるからだ。

日本の関係者は絶大な人気を誇っていたジャイアンツの練習場である
多摩川グラウンドにクラマーを連れて行った。

多摩川には芝も生え揃っておらず、雨が降ったグラウンドはただの泥沼に
なっていた。クラブハウスもないので選手は近くの倉庫の二階で着替えを
させてもらい、食堂もないので土手の屋台でモツ煮を買って食べていた。

これが当時の日本のスポーツに対する意識の象徴だった。
Jリーグ発足までこの状態が日本のありようだった。