19日のワールドカップ(W杯)ロシア大会で、コロンビアとの初戦に2−1で勝利したサッカー日本代表。先発した乾貴士選手(30)出身の県内でも、歓喜の輪が広がった。

 乾選手の地元、近江八幡市の商工会議所1階レストラン(同市桜宮町)には19日夜、関係者約50人が試合を応援観戦した。市内に実家がある乾選手は市立八幡小・中学校の卒業生で、父哲典さん(61)が空調・水道設備会社を経営していることから、企画された。

 この日は、実家から借りた乾選手の背番号「14」のユニホームとスパイクなども展示。乾選手がボールをキープすると「そこだ」、シュートを外すと「惜しい」などと見守った。乾選手の小中学校の先輩で、大阪体育大サッカー部で昌子源選手の父と一緒にプレーしたという川嶋隆志さん(54)は「乾君、昌子君に頑張ってほしい」と声援を送った。

 試合後、川嶋さんの息子で乾選手の後輩になる八幡中1年の右京さん(13)は「勝てて良かった。次は乾選手もゴールを」。県サッカー協会名誉会長の松田保(たもつ)さん(70)は「歴史的な勝ち点3。乾選手も次こそ、もっと積極的に得点を」と激励した。

 彦根市平田町のスポーツバー「YAB」でも、乾選手が所属した県立野洲高校サッカー部の1年後輩でGKだった消防士、青木涼平さん(28)=愛荘町=が職場仲間とテレビ応援。店内は約100人の客で埋まり、日本のPKが決まると全員が両手を挙げ、青木さんもガッツポーズで喜んだ。青木さんは「随所で先輩らしい切れのある動きが見られた。高校時代から練習熱心だった先輩なので、次は必ずシュートを決めてくれると思う」と期待を寄せた。【蓮見新也、西村浩一】

白星呼んだ白い石 「ダイヤになった」 プレゼントをもらった小学校の恩師鎌田さん

 19日のワールドカップ(W杯)ロシア大会で先発したサッカー日本代表・乾選手の活躍に、小学5、6年生当時の恩師、鎌田正子(まさこ)さん(65)=近江八幡市=も勝利を喜んだ。乾選手から当時プレゼントされた白い小石を、今も大切にする鎌田さん。「『Jリーガーになったら、この石をダイヤに替えてや』とお互いに笑ったけれど、乾君本人がダイヤになった」

 乾選手は同市に実家があり、同市立八幡小5、6年の時、鎌田さんが担任を務めた。小石をもらったのは6年生の時。「先生、目をつぶってみて」と言われて手を差し出すと、手のひらに白い小石が置いてあった。「石だけやったら誰が渡したか分からん」と友達に言われた乾選手は「かま田先生へ この石をあげる。 終わり 乾貴士」と書いたカードも渡してきた。鎌田さんはその石とカードを、ずっと大事に保管してきた。

 県内のフットボールクラブに所属していた乾選手は、当時から抜群にサッカーがうまく、体育の授業がサッカーの場合は「乾選手がシュートしたゴールはマイナス1点。アシストなら得点」という「特別ルール」があった。男女混合チームのため、乾選手は女子児童にもよくアシストしていたという。中学進学後も放課後、学校を訪れ、グラウンドにいる後輩にサッカーを教えることもあり「本当に素直で優しい子だった」と振り返る。

 鎌田さんは「高校までサッカーをしていた息子に、試合を解説してもらいながら観戦した。シュートも打ってフル出場した乾君が、日本中がわく勝利に絡んでくれて、うれしい限り」と喜んだ。【蓮見新也】=一部地域既報

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