14日に開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会では、プレーの映像確認を担う審判員「ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)」と、延長戦の「4人目交代枠」がW杯として初めて採用される。

 いずれも試合の重要な場面で活用されるため、どのように運用されるかで勝負の行方も左右されそうだ。

流れ止まる

 明らかな誤審を防ぐことを目的に導入されたVAR。対象になるのは「得点」「PK」「一発退場」「警告、退場の人定」の4つのケースだ。審判員は映像検証した情報を主審に伝え、最終的な判定は主審が決める。ロシア大会では、VARの対象映像が会場スクリーンにも映し出される予定で、観客も一緒にプレーを確認できる。

 W杯の有名な「誤審」としては、1986年のメキシコ大会でアルゼンチンの英雄マラドーナがヘディングに見せかけて手で得点を奪った「神の手」ゴールなどが有名だが、今後はこうした「ミスジャッジ」は避けられそうだ。しかし、すでに試験導入されている欧州のリーグなどでは「映像確認で試合の流れが寸断される」「ビデオ検証が必要となる範囲が明確ではない」といった理由から批判が相次いでいる。今大会後には、導入の是非をめぐる議論も活発化しそうだ。

高まる采配重要性 

 延長戦に突入した場合は、これまで3人だった交代枠が1人増えて、4人になる。昨年のクラブW杯などで試験導入され、ロシアW杯でも採用が決まった。前回のブラジルW杯では決勝トーナメント16試合中、8試合が90分で決着がつかず、延長に突入している。

 サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」元コーチでびわこ成蹊スポーツ大教授の望月聡氏は、「監督は新たな戦力を投入する選択肢が増え、選手も出場機会が増えて成長につながる」と歓迎。観客にとっても「フレッシュな選手のアグレッシブなプレーを見られる」とし、試合全体にプラスの効果があるとする。

 ただし、勝負という意味では相手も条件は同じ。延長戦の交代枠が増える分、監督の采配の重要性がより高まるとみている。

日本にはプラス? 

 延長戦の「4人目交代枠」は、引き分けでも90分で試合が終了する1次リーグでは関係のない制度。仮に日本代表が決勝トーナメントに進出した場合、どのような影響をもたらすのか。望月氏は「世界の強豪を相手に劣勢を強いられ、延長戦に入ったときには相手より疲労度が高いことが予想される。フレッシュな選手を投入できることは、日本代表にとって有利に働くのではないか」と話している。

2018年6月14日 12時32分
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