サッカーの日本代表は12日のパラグアイ戦に4―2で勝ち、ワールドカップ(W杯)ロシア大会前最後の試合を終えた。格上ばかりと対戦するW杯の1次リーグを想定し、チーム全体で取り組む守備が、少しずつ機能し始めた。

 ベンチで試合を見守ったDF長友(ガラタサライ)が、思わずうなった。「あれだけ前から球を追い、戦ってくれたら、後ろの選手は楽になれる」

 守備のスイッチを入れたのは最前線のFW岡崎(レスター)だった。球を持ったパラグアイの選手をピッチ脇へ追い込むように近づき、パスコースを消していく。一度かわされても、諦めずに追いかける。相手がたまらず前方へ蹴り出したところを日本の選手が拾い、攻撃へ転じた。岡崎は「相手が嫌がるプレーには自信がある。味方にしたら、どこへ球が来るのか準備できたと思う」。

 高い守備意識は、チーム全体に行き届く。3―2と迫られた直後の後半追加時間。球を持った相手をMF香川(ドルトムント)とMF山口(セ大阪)が前後から挟む。逃げ場無く横へさばいたパスをMF柴崎(ヘタフェ)が奪い、香川のだめ押し点につなげた。

 8日のスイス戦でも、日本は同じ陣形で、同じ狙いの守備を試みた。しかし、前線と後ろの選手との息が合わず、マークが甘くなったところを簡単に突破され続けて敗れた。

 パラグアイ戦での日本の先発メンバーは、スイス戦から10人が入れ替わっていた。その1人である岡崎は言う。「前の試合での反省については、試合に出た選手からフィードバックを受けていた。誰が出ても、これを最低限のこととして、やっていきたい」。チーム全体で問題を共有し、ピッチ上で解決策を示せたことは明るい材料だ。

 一方で、失点が止まらない現実から目を背けるわけにはいかない。西野監督が就任して以来、3試合続けての2失点。セットプレーなど、流れがいったん止まって守備の集中力が途切れやすい場面が目立つ。パラグアイ戦の2失点もスローインとFKが起点だった。

 西野監督は「これからは、自分たちが受け身になることが多く、セットプレーの精度が高い相手との試合になる。不用意なファウルを与えないとか、少しでも相手へ体を寄せるとか、リスク管理にフォーカスしたい」。19日のコロンビア戦に向け、キャンプ地のカザンで細部を詰める作業が始まる。(インスブルック=清水寿之)

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