ロシアを初舞台とするサッカーのワールドカップ(W杯)。最大の焦点は、ドイツが史上3チーム目の連覇を果たすかだ。過去20回で連覇は1934、38年のイタリア、58、62年のブラジルのみ。至難の業だが、ドイツには偉業を成し遂げるだけの実力がある。

 戦術が多彩。飛び抜けたスターはいないが、ワールドクラスの選手がそろい層も厚い。技術、身体能力も高く、「ゲルマン魂」も健在。隙のない、完成されたチームになった。直前の強化試合は低調だったが、長年指揮を執るレーウ監督の管理能力で修正は可能だろう。
 ただ今回、ドイツと互角か、それ以上の力を持つのがブラジルだ。知将チチ監督によって、創造性あふれるサッカー、圧倒的な個の力と組織力が融合。エースのネイマールでさえ守備に走る、一味違う「王国」となった。
 地元開催だった4年前、準決勝でドイツに惨敗した悲劇も王者打倒の思いを強くする。欧州開催での南米勢優勝は一度だけ。58年のブラジルだ。
 両者は1次リーグの組が隣り合わせ。万一、どちらかが2位通過なら、いきなり決勝トーナメント1回戦で激突する。
 「2強」に迫るのはフランスとスペイン。フランスはグリーズマンや19歳のエムバペ、カンテ、ポグバとタレントは最高峰。準優勝した2年前の欧州選手権準決勝ではドイツを破っている。
 前回1次リーグ敗退のスペインはパスサッカーを維持しつつ、攻撃につなげる守備意識も高まった。神戸入りしたイニエスタも注目。ただ欧州王者ポルトガルとの初戦は要注意だ。B組2位になると、厳しい対戦が待つ。
 前回準優勝のアルゼンチンも力はあるが、全てはメッシ次第。混戦必至のD組突破が先決だ。個性派集団ベルギー、ロナルドを擁すポルトガルは、チームとしての完成度がカギ。イングランド、スアレスとカバニの2トップを誇るウルグアイ、日本と同組のコロンビアも上位候補だが、優勝争いにはパンチ不足か。
 ロシアの涼しい気候はプレーに適し、ビデオ判定導入で不可解な判定も減れば、実力が反映されやすい。とはいえ波乱は付き物。負傷は気掛かりだが、サラーが爆発した時のエジプトや初出場アイスランド、古豪ペルー、日本と同組のセネガルは伏兵ムード。ロシアは開催国の意地を見せたい。
 初めて5チームが出場するアジア勢は苦戦濃厚。日本は何としても1次リーグを突破したい。

 ▽各組1次リーグ突破予想(◎濃厚、○有力、△微妙、×厳しい)
〔A組〕ロシア△ サウジアラビア× エジプト△ ウルグアイ◎
〔B組〕ポルトガル◎ スペイン◎ モロッコ× イラン×
〔C組〕フランス◎ オーストラリア△ ペルー○ デンマーク○
〔D組〕アルゼンチン○ アイスランド△ クロアチア○ ナイジェリア△
〔E組〕ブラジル◎ スイス○ コスタリカ○ セルビア△
〔F組〕ドイツ◎ メキシコ○ スウェーデン○ 韓国×
〔G組〕ベルギー◎ パナマ× チュニジア× イングランド◎
〔H組〕ポーランド○ コロンビア○ セネガル○ 日本△

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