出場国の現状を詳細にレポートした記事で、日本はやはり本大会開幕の約2カ月前に起きた、バヒド・ハリルホジッチ前監督から西野監督への急転直下の監督交代劇が大きく取り上げられた。2014年の前回大会をイタリア人監督アルベルト・ザッケローニ氏の下で戦ったチームとの比較で、ハリルジャパンの傾向は世代交代を促した点にあったと触れられている。

「ハリルホジッチのチームはザッケローニ時代に我々に植え付けられた日本のイメージを変えた。誰もが守備をしなければならなかったし、ボールを持った時には違うプレーを要求された。これにより、中盤で特定のプレーを好む前世代の選手たちからの世代交代が進んだ。しかし、2017年12月に韓国に敗れ、ロッカールームが監督を支持せずに、大衆からの興味を失ったことを危惧した日本サッカー協会は、監督交代という介入を選択した」

 ハリルジャパンによる速攻を基本とした攻撃により、ボールポゼッションをしたがる選手たちが居場所を失ったとレポート。それが世代交代の加速を招いたとした。

「ベテランがクーデターに勝利」「世代交代を放棄」と辛辣
 実際にハリル監督の下ではFW久保裕也(ヘント)、FW浅野拓磨(ハノーファー)、MF井手口陽介(クルトゥラル・レオネサ)」といった若手でハリル戦術に順応する選手たちが存在感を増した一方で、本田や香川の座席は確保されなくなっていた。

 そして、記事では監督交代について「クーデターが起こった」とレポートしている。

「ハリルホジッチに対してベテラン選手たちはクーデターに勝利した。その結果、その選手たちを選ぶ監督として西野が連れてこられた。中島、久保、浅野、井手口、森岡は“元老院”に席を用意するために脇に置かれた。世代交代を放棄し、香川と本田に代わる可能性のあった才能、すなわち23歳の中島と24歳の久保はテレビでW杯を見る」

 現状、トップ下のポジションを争うと見られている本田と香川を「元老院」と表現した。元はラテン語の「老いた者」を意味し、紀元前のローマ時代には国の実質的な統治機関となった組織の名称を与えることで、日本代表メンバー選出に歪んだ構造があったと痛烈に批判している。

ガーナ戦のワンプレーに注目し「ショートパスに固執」と指摘

 さらには5月30日の国際親善試合ガーナ戦での一つの局面を例に挙げ、「大島(僚太)から外のスペースでフリーになった原口(元気)にスルーパスを出すべき場面だが、日本は最後まで細かいパスにこだわって崩すことに固執する」と、戦術的な批判も受けている。

 日本サッカー協会の田嶋幸三会長をして「日本らしいサッカー」と表現するショートパスの連続も、イタリアメディアには「固執したもの」と一刀両断された。田嶋会長が「W杯で勝つ確率を1%でも2%でも上げるため」と語った監督交代劇だが、イタリアメディアには「ベテラン選手たちのクーデターを日本協会が受け入れたもの」として理解されているようだ。

Football ZONE web編集部