啓発セミナーサッカーはやめて現実を見よ


口火を切ったのは闘莉王だった。
「俺たちはヘタクソなのだから、泥臭くやらないといけない」
 ここから先は闘莉王の独壇場だった。
「考えてみろよ。俺らの中で一番うまいのは(中村)俊輔さんだ。でも俊輔さんでも、世界中を見渡してみれば、それほどでもないんじゃないか?
 これからワールドカップで戦う相手と比べれば、それほどでもないんじゃないか?
 カメルーンにはエトーがいる。オランダにはファンペルシやスナイデルがいる。
 あいつらは一発で試合を決める力の持ち主だ。俊輔さんがあいつらと同じレベルで試合を決められるだろうか?
 そうじゃないだろう? みんなでやらなきゃだめなんだ。
 俺らはもっと走って、もっと頑張っていかないとだめだ。コツコツやらないといけない。
 日本らしいスタイルとか、パスを回すとか、もちろん理想は大切だけど、ヘタくそはヘタくそなりに泥臭くやんないと、必ずやられる。
 このままでは1対1の局面になったら、俺らは全部負けだ。せっかくワールドカップに出ても、逆に恥ずかしい試合になってしまうぞ」
 (自著『大和魂』幻冬舎より)