https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180612-00172170-diamond-bus_all&;p=1
片山晋呉プロアマ騒動がゴルフ界でここまで問題視される理由

 参加者からすれば、トッププロとラウンドし直接話ができるのは大きな魅力
だし、アドバイスをしてもらえる期待感もある。プロとしても、大会スポンサー
に感謝の意を表すのは当然の務めであり(5万円程度の日当も出る)、自分の
ファンをつくる絶好の機会でもある。だから、プロもこの日だけはホスト役に
徹して参加者に気分よくプレーしてもらうことに努める。それは双方の了解事
項であり、和気あいあいとラウンドするのがプロアマ戦なのだ。

 ところが片山はそれとは真逆の、招待客を激怒させる行為をしてしまったの
だ。報道によれば、トラブルが起きたのは1ホール目の終了時。普通ならばプ
ロと招待客は会話を交わしながら2ホール目のティグラウンドに向かうところ
だが、促しても片山は「前が詰まっているから」と言って、翌日からの競技に
備えてグリーンの傾斜やボールの転がり具合のチェックを続けたという。それ
も相手を無視するような不遜な態度だったため、招待客が激怒しプレーを中断
し帰ってしまったのだ。

● 男子プロゴルフ界の 人気低迷が止まらない

 この騒動には世間もすぐに反応し、ネットにはコメントがあふれた。
大半は片山のプロにあるまじき態度を非難するものだが、なかには招待客側
の対応を疑問視するものもあった。「この程度で怒ってプレーを止めるなん
て、クレーマー体質なんじゃないの」とか「スポンサーの威を借りているだ
けだろ」といったものだ。

 だが、男子プロゴルフ界にとっては、やはり看過できない事態なのだ。

子どもの頃から才能を評価され、ちやほやされてきた片山には、そうしたJG
TOの考えが理解できなかったのだろう。

● 男子プロゴルフ界は 「誰が支えているか」を知るべき

 片山の対応に接して思い出したことがある。昔のプロ野球選手だ。ファンに対
して、ひどい対応をする選手が少なからずいた。サインを求められても無視した
り、応じたとしてもあからさまに面倒くさそうにしたりする。

 ただ、取材してきた経験上、社会人野球出身者には総じて、そうした選手は少
なかった印象がある。社会人出身の選手は企業で仕事をしたうえで野球をしてき
た。その過程で自分が所属する企業はどのように利益を上げているか、そしてそ
れに対する苦労も理解する。また、野球部が活動する意味や投じられる費用を知
り、感謝の思いも生まれる。

 企業で身につけたその感性はプロ入り後も生きていて、自分がもらう高額の
契約金や年俸がどこから生まれるかも知っている。ファンが支払う入場料や
グッズ代、人気を背景にした中継の放映権料などだ。プロはファンに支えられ
ているということを知っているから、ひどい対応はできないのだ。

 2004年にプロ野球再編問題が起きて以降、野球界にも危機感が生まれ、選手
のファン対応も大分良くなっているが、男子プロゴルフ界には、その感覚が生
まれないままで来たのかもしれない。ファンへの対応より競技の成績を優先す
るプロは片山以外にもいると聞く。勝てば賞金がもらえるとしか考えず、その
原資がどこから生まれるか想像できないのだ。

 プロアマ戦でのプロは、媚を売ることまで要求されるわけではない。招待客
はもともと高い技術を持つプロをリスペクトしているわけで、ごく普通に会話
をし、楽しくラウンドすればいいわけだ。決して難しいことではないのに、な
ぜできない選手が多いのだろうか。