トミー・ジョン手術に並ぶ新たな治療法が確立?ロイヤルズ投手が靭帯損傷から異例スピードで復帰

米国で、断裂した靭帯を再建する「トミー・ジョン手術」に並ぶ新たな治療法が話題となっている。
MLBでは肘の靭帯断裂で、実戦復帰までに12〜15か月もの長期離脱を必要とするトミー・ジョン手術を受ける選手が続出している。
日本人ではダルビッシュ有投手や和田毅投手、NPBではソフトバンクのロベルト・スアレス投手が同手術を受けたことは記憶に新しい。

そのような状況の中、MLBサイトでは2日付で新たな治療法を特集。トミー・ジョン手術では靭帯そのものを体の別の部位から移植していたが、
損傷状況によっては新技術で靭帯を修復することで実戦までの復帰期間を6〜7か月に短縮できるというものだ。
同治療法は靭帯もしくは腱の両サイドにビスを埋め込み、そこに新しく開発された靴紐のような縫合テープを
取り付けることで患部の治癒を図るものであり、患部の状態が良好な場合に有効であるとされている。
同記事では靭帯や腱を、ヨットを係留する際のロープに例え、新しいロープは補強すればまだ使えるが、
古く、擦り切れたりしているロープは新品への交換が望ましいとしており、
前者を新治療法、後者を従来のトミー・ジョン手術に当てはめている。そして、修復か交換の判断は外科医の診断に委ねられるとしている。

同記事では、この治療法を受けて復活を果たしたカンザスシティ・ロイヤルズのセス・メイネス投手の例をあげている
メイネスは、セントルイス・カージナルスに所属していた救援投手で、2013年のデビューから昨季まで244試合に登板。
2014年、2015年には70試合以上に登板したが、昨季は右肘に異常が見つかり、8月以降のシーズンを全休。12月にはカージナルスからも放出されていた。
しかし、この治療を受けたメイネスは予定通りに患部が回復。2月にロイヤルズとマイナー契約を果たすと、
5月にはメジャー昇格を果たし復活。故障離脱から9か月でメジャーリーグのマウンドに戻り、
7試合で8.1イニングを投げ、防御率4.32と地区最下位に低迷しているチームのブルペンを支えている。

また、ロサンゼルス・エンゼルスのアンドレルトン・シモンズ内野手は昨季、
この治療法により左親指の靭帯損傷から早期復帰。通常8〜12週間かかるところを、6〜8週間で復帰した。
また、先月に左手親指靭帯断裂のケガを負った同僚のマイク・トラウト外野手もこの治療法で早期復帰を目指しているようだ。
同治療法が一般的なものとなれば、多くの球団や選手が苦しむ靭帯損傷による長期離脱の負担を軽減可能となるだけに、今後の技術の発展に期待がかかる。
https://www.baseballchannel.jp/mlb/33219/