宮崎 だけど「うる星」でいえば、ラムの夢を現実化して、まわりは廃墟になって、自分のいたい人とだけいっしょにいて、食べ物はコンビニエンスストアにいっぱいあってね、電気もガスも水道も供給される、そういう世界で遊んでいるでしょ。
それでラムはどうなったんだ、ということがないと、純愛ものもへったくれもないと思ったんですよ。

押井さんはじつにうまく逃げたという気がする。夢邪鬼に 「これはラムさんの夢なんや」といわせて、さらに最後の「夢だよ」というあたるのセリフで念押ししてね。

もし、今日の日本を舞台にして学園ものにふみこむなら、どうしても重いところにふみこまなければいけない部分が出てくるけれど、そこをうまくのけといて、おもしろそうな風俗だけは全部出てる。

それにごまかされて、こどもたちは「ラムはあたるが好きなんだ、こんどもキスしなかったんだ」って(笑)。
うまくごまかしてのせてるんだと思いましたね、率直にいって。

あれはラムの夢でなくあたるの夢だったのかという気もしてくるし、そのへんはシッポをつかまれないようによくできているんですよ(笑)。