【福田正博 フォーメーション進化論】
 
前回は、ガーナ戦の26人のメンバーからFW、GK、DFの最終メンバーを予想したが、やはり中盤が最も予想が難しい。
4−4−2のシステムで考えれば、各ポジションに2人ずつと考えて8人になるため、青山敏弘がケガの影響で離脱して11人になったMFからは、単純計算で3人が落選することになる。

ボランチの候補は、長谷部誠、山口蛍、大島僚太、三竿健斗、井手口陽介の5選手。
青山もそうだが、西野朗監督は当初、今野泰幸(ガンバ大阪)の招集も考えていたということから、このポジションには経験値と実績を求めていることがわかる。その点で、まず長谷部と山口がボランチの基本線になるはずだ。

あと2枠は誰になるのか。私は、まず大島を推す。チームを攻撃的にしたい時に彼の能力が必要になるからだ。

そして残り1枠を、井手口、三竿が争うことになるだろう。経験値や実績を重視する西野監督にとって、アジア予選から多くの試合に出ていた井手口は残したい選手だ。
しかし、彼は海外移籍してから出場機会に恵まれていない。

三竿のパフォーマンスはJリーグでのプレーから計算が立つ。しかし、試合に出ていない選手のコンディションは掴みにくい。
井手口が本来の力を出せるようなら、青山や三竿より優先されるだろうが、その保証がないため、彼の代わりとなる選手を選んで保険をかけているのではないかと思う。

井手口のコンディション次第でボランチのメンバーが決まると言ってもいいが、フィジカル面はもちろん、メンタル面の状態もチェックする必要がある。
守備的MFは積極性が不可欠。自信を失っていると消極的になり、ミスを重ねるとボールをもらうことをためらうようになる。そうなるとチーム全体に悪い影響が及んでしまうため、練習の段階からしっかり見極めなくてはいけない。

「井手口の代わり」という表現は適切ではないかもしれないが、三竿はW杯に出られるチャンスが回ってきたことをポジティブに捉えているだろう。
彼らには、これまでの代表における立ち位置などは気にせず、合宿期間中に自分の力をしっかりアピールして最終メンバー入りを目指してもらいたい。

そして、ボランチ以上に難しいのが攻撃的MFの選考だ。
原口元気、乾貴士、香川真司、柴崎岳、本田圭佑、宇佐美貴史の6名の中から2名が落選すると考えるのが妥当だが、このポジションは西野監督がどういったフォーメーションを考えているかによっても大きく変わる。

システムを4−4−2にする場合は、中盤をダイヤモンド型にする手もあるものの、アンカーを1枚にする選択はギャンブル性が高い。そのため、2枚のボランチと左MF、右MFという形になるだろう。
左MFは原口、乾、香川。右MFは本田、宇佐美、柴崎で争うことになる。ここで注目したいのは香川のポジションだ。香川はトップ下でこそ輝くが、左MFとしてなら、原口や乾よりも格付けは下だろう。

W杯は23選手でやりくりしなければいけないため、ポリバレントが重視されるのは当然だが、その選手が最も力を発揮できるポジションがどこであるかも忘れてはいけない。
たとえば、酒井宏樹はマルセイユでは左SBとしても起用されることはあるが、彼の持ち味が最も生きるのは右SB。そして原口や乾の場合は左MFであり、香川は間違いなく中央のトップ下だ。

さらに香川には、井手口と同様にコンディションの問題がある。ケガの影響で約3カ月間もプレーしていない選手が、1カ月足らずでベストパフォーマンスを取り戻せるかといえば、懐疑的な部分が残る。
仮に、香川のコンディションが全盛期に近い状態に戻っているとしたら、彼をトップ下で起用するシステムを採ることを考える手もある。トップ下のポジションがあり、日本代表がW杯を戦い抜けるシステムは何かと考えると、4−3−1−2が最適だ。

ボランチ3人の中央に長谷部、その左右に井手口と山口。そしてトップ下に香川だ。この場合、長谷部がCB2枚の間に落ちて5バックのような形で守ることも可能になる。

>>2以降につづく

Sportiva 5/29(火) 17:20配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180529-00010005-sportiva-socc

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