去る18日の中日戦で阪神の鳥谷敬が通算2011試合出場を果たし、球団生え抜きでは藤田平を抜いて歴代最多出場となった。といっても、その試合での鳥谷はスタメンではなく代打出場。しかも、送りバントを決めたのみである。

 もちろん送りバントも重要かつ難しい仕事であるため、それを涼しい顔で成功させた鳥谷は称賛されるべきだろう。しかし、翌日の在阪スポーツ新聞のほとんどが冒頭の通算試合出場記録を金字塔などの美称で報じ、現在の鳥谷については「チームの浮上には欠かせぬベテラン」「常に進化を求める虎の鉄人」などのテンプレート的な表現でお茶を濁していたことには違和感を覚えた。

■事実の表層だけを報じて終わり

 ご存じのこととは思うが、今季、ここまでの鳥谷はいびつな状況に置かれている。打率1割台と深刻な不振によってスタメン落ちが目立つ中、それでも故・衣笠祥雄に次ぐ歴代2位の連続試合出場記録を止めないために、代打や守備固めなどでの途中出場は続いている。これが勝利のための戦術的な途中出場なら問題ないのだが、中には明らかに記録継続のためだけの作為的かつ不自然な出場も少なくない。このままでは現阪神監督の金本知憲以来となる、史上2人目の全試合出場&規定打席未到達という不名誉な珍記録が生まれてしまう。

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