ビジネスのαな感性に注目する「αism」。
名門チームが手がけるサッカー以外のビジネス。
そこには、25年かけて築いてきた地域とのつながりがありました。

夜のカシマスタジアム、芝の上に1カ所だけピンクの光を放っている場所があった。

ピッチの上で輝くピンクの光。
この謎の光が鍵を握る、プロサッカーチームの新たなビジネスチャンスとは。

日本を代表するJリーグの名門クラブ、鹿島アントラーズの本拠地「カシマスタジアム」。

チケットやグッズ販売など、本業以外のビジネス、「ノンフットボールビジネス」の1つとして注目されているのが、この芝生。
球際の激しい攻防や、スライディングなどのあとも傷みが少ないのが特徴。

その秘密は、試合がない日に隠されていた。

芝をピンクの明かりで照らす、特殊なLED「BRIGHTURF」。
ソニーや信州大学などと共同で開発したこの光は、太陽光に近く、夜間でも芝の成長を促進させることができる。

この日は、ちょうどサイドライン際の外の部分が照射されていた。

鹿島アントラーズFC・小松義典ターフ担当は、「副審のラインズマンの走路になっているんですけれども、こういった形で、どうしてもやっぱり極端に傷んでいる所、弱っている所に対して、やっぱり光を与えている。これはもう24時間、当てっ放しでもいけるわけですよね」と話した。

鹿島アントラーズは、この光源を共同開発した会社とともに、特許を取得。
また、2018年に入り、はがれにくい新種の芝も開発。

これらの技術をほかのスタジアムや施設に販売。
事業展開を目指している。

ノンフットボールビジネスは、芝以外でも、地域の日常的なシーンにまで広がっていた。

スタジアム内に併設したフィットネスクラブ「カシマウェルネスプラザ」。
選手も使用する特殊な機器を導入するなど、ほかのジムと差別化を図り、日常的に多くの人が訪れている。

さらにスタジアムのそばに、クラブチームとして全国初となるMRI(磁気共鳴画像装置)も完備する整形外科専門のスポーツクリニックを開設。
その売りは、試合中、選手がけがをした際の治療に当たるチームドクターが、住民向けの医療サービスを行うという点。

アントラーズスポーツクリニック・山藤 崇院長(兼チームドクター)は、「チームの選手も患者さんも一緒ですからね。選手を治したいのも、一般のスポーツやってる方治したいのも、おじいちゃん、おばあちゃんを治すのも、基本的なテクニックというか、ものは同じですし」と語った。

鹿島アントラーズというネームブランドも、患者への信頼度を高めていた。
クリニックを訪れた患者は、「(プロ)チームのメディカルドクターをやってくださっている方に言われると、当然、安心感はありますし」と話した。

地域のスポーツクラブとしての在り方を示す鹿島アントラーズのノンフットボールビジネス。
その狙いは。

鹿島アントラーズFC・鈴木秀樹事業部長は、「“地域創生”だと思いますよ。地域が元気になるために、われわれが何をお手伝いできるかっていうところで、一番、きちんと見せられる場所が、スタジアムだったということ。スタジアムに何を付加していくかというか、非日常のフットボールと日常のスタジアムっていう、両方が必要なんじゃないかなと思いますけどね」と語った。

非日常の空間を演出する試合と、地域の日常に溶け込む、さまざまなアプローチ。
スポーツが文化として根づく歩みの1つ。

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20180518-00392268-fnn-bus_all