https://www.tokyo-sports.co.jp/sports/othersports/1009600/

6日に行われたアメリカンフットボールの日本大学と関西学院大学の定期戦(東京)で、日大の守備選手が悪質なタックルを仕掛けて関学大クオーターバック(QB)選手にケガを負わせた問題は、一向に収まる気配を見せない。15日にはスポーツ庁を訪問した日本協会の国吉誠会長(61)が、騒動を陳謝した。一方で悪質行為が日大アメフット部の内田正人監督の指示であったことが指摘されるが、日大関係者からは同監督の強大すぎる「権力」を問題視する声も上がっている。

 関学大アメフット部は15日、日大アメフット部へ送付した抗議文への回答を受け取ったと明らかにした。回答は同日夜に日大コーチが持参したという。関学大側は17日に記者会見し、返答内容や対応について説明するとしている。

 波紋が大きく広がる一方の悪質タックル問題。報告のためスポーツ庁を訪れた日本協会の国吉会長が「あり得ないプレーだと思う。誠に残念で心よりおわびする」と陳謝した前代未聞の反則プレーは、内田監督の指示だったことが指摘されている。同監督は試合前、相手QBを負傷させる趣旨の命令を当該選手にしていたという。

 事実だとすればもはや「スポーツ」とは言えない蛮行だが、周囲から「さすがにそれはおかしいです」という声が上がらないのも不可思議だ。しかし日大内部をよく知る関係者は「この話を聞いて、内田氏のおごり体質が出たな、と思いましたよ。みんな『起こるべくして起こった』と思っている。アメフット部はもちろん、日大の関係者は誰も内田氏に逆らうことなんてできないんですよ」と憤りながら話した。

 内田監督は日大の常務理事で人事を担当。さらに同大保健体育事務局のトップに立っている。アメフット部のみならず、日大の体育会、大学そのもので絶大な権力を握っているという。体育会だけを例にとっても「各部の入部人数や予算を決められる立場。アメフット部は有給のコーチも雇え、予算も多く選手も好きなだけ獲得できる。でも気に入られない部は冷遇される」(同関係者)。

 大学本体を意のままに操る権力の持ち主に、アメフット部員やコーチが「それはおかしい」などと意見できるわけがない。内田監督については「律義で優しい人。あの人の指示とはとても思えない」との声も上がるなか(本紙昨報)、大学内では“別の顔”も持っていたということか。

 さらに、日大の体育会関係者の間では「当該選手はそんなことをするような子じゃない」という声がもっぱらだ。反則を犯した選手は家庭の事情で約1週間、練習を休んでいたという。日大は厳しい指導で知られ、チーム内の競争も激しい。当該選手が「精神的に追い込まれていた」ことも一因にあるという。

 監督の指示に従って“凶悪プレー”を行った当該選手が処分を受けるとすれば何とも後味が悪い。アメフット界、いやスポーツ界全体のためにも内田監督自らの言葉で真相を語ることが求められている。